『PSO2』10周年&「PSO」35周年記念 懐かしの楽曲も登場したコンサート『シンパシー2023』レポ

「PSO」周年記念コンサート取材レポ

 セガより配信中のオンラインRPG『ファンタシースターオンライン2』(以下、『PSO2』)10周年および「ファンタシースター」シリーズの35周年記念したオーケストラコンサート『シンパシー2023』が2023年1月21日、東京・Bunkamura オーチャードホールにて公演。本稿では当日の昼公演の模様と、シリーズのサウンドディレクターを務める小林秀聡氏への公演後インタビューもお届けする。

 「ファンタシースター」シリーズにおけるオーケストラ公演は『シンパシー2013』から通算4回目の開催となり、これまでの全公演は天野正道氏による指揮のもと、東京フィルハーモニー交響楽団が演奏と協力。また、公演のセットリスト制作を含むセガ側のディレクションは、小林氏が4回とも担当している。加えて声優の田所あずさ氏やテノール歌手の高野二郎氏など、さまざまな分野で活躍中のボーカリスト8名が、各楽曲の構成に応じて歌声を披露した。

 今回の会場となったオーチャードホールは、天井が高く、垂直の両側壁、浅いバルコニーを持つシューボックス型ホール。この会場で「ファンタシースター」シリーズの楽曲が演奏されるのは『シンパシー2021』以来、2度目となる。

 公演時間は約2時間半で、オーケストラによる演奏と歌手によるライブが交互に繰り広げられる三部制。本公演のライブパートでは、当日の物販などで販売されていた『ラッピーペンライト』を振って観客が大きく盛り上がり、ステージ上の照明演出なども含めてオーケストラパートとは異なる趣向が凝らされていた。ちなみにラッピーとは、『PSO2』に登場する鳥のような生物。開演前には壇上にラッピーの着ぐるみが現れ、オープニングアクトを披露する場面もあった。

 さらに『PSO2』のマトイというキャラクターを演じる声優の佐藤聡美氏がメインナビゲーターを務め、テーマごとにまとめられた楽曲の随所で由来などを語り、ステージ後方の巨大モニターでは楽曲にまつわる作品映像が上映されていた。35年という長大な歴史を持つシリーズでありながら、過去作のプレイ経験がない観客にとっても、その歴史を音楽以外の面から感じとることができる公演だったと言えるだろう。

 そんな本公演において、第一部の1曲目に演奏されたのは「ファンタシースターオンライン」(以下、『PSO』)のテーマ曲「Phantasy Star Online OPENING THEME ~The whole new world~」。シリーズ全体の新たな門出となった楽曲にふさわしい特徴的なトランペットの音色が開演を飾った。続いて演奏されたのは『シンパシー2013』でも披露されたメドレー「Phantasy Star Medley for Sympathy」。シリーズ初期作における数々のフレーズを天野氏が編曲した特別なメドレーであり、当時のシンセサイザー楽曲がオーケストラによる演奏で現代へ生まれ変わることとなった。

 第一部の楽曲群は、過去作全体を俯瞰するような構成となっており、3曲目には2006年に発売された『ファンタシースターユニバース』の楽曲「Guardians」、4曲目には『PSO2』のオープニングテーマ「The whole new world - Short Version -」、5曲目にはシリーズ30周年記念作『イドラ ファンタシースターサーガ』のテーマ曲「Endeavour - Short Version -」といったシリーズの節目を象徴する楽曲が次々と演奏された。また「Endeavour - Short Version -」では、ボーカルとしてフローレンス・マックネアーさんが儚くも力強いボーカルを披露。

 6曲目からは楽曲の題材が打って変わり、『シンパシー』において通算3度目の演奏となる「la L'inno per il "IDOLA" - Persona di Onnipotente -」が演奏された。オルガンのフレーズと男性コーラス風の音色が特徴的なこの楽曲を演奏するにあたって、テノール歌手の高野二郎さんが登壇。ホール内すべてに響き渡るハイトーンを見事に歌いきっていた。

 7曲目からは『PSO2』の各エピソードを象徴する楽曲が次々に演奏された。作中の世界観がガラリと変わった『EPISODE5』における楽曲「DYREINA」では、シンガーソングライターの花れん氏が登壇。民族的なエッセンスが取り入れられた曲調に合わせたステップとともに豊かな歌声を響かせていた。そして『PSO2』エンディング曲の「Crying your Phantasy」が11曲目に披露され、原曲と同じく歌手の有坂美香氏が歌唱した。

 第一部を締めくくったのは、『PSO2』10周年記念企画「歌唱がついてほしい楽曲アンケート」で選出された「Unfathomable Darkness」にボーカルアレンジが加えられた楽曲「Unfathomable Darkness 【Vocal Ver.】」。こちらは本公演における歌手陣の中から4人をボーカルに迎えた、特別な編成で演奏された。

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