1990年代のテレビ番組やトラウマになりかけた「とくせい」など……「ポケモン」シリーズで驚いた瞬間

「ポケモン」シリーズで驚いたこと

 11月18日に発売された『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』。『ポケットモンスター ソード・シールド』発売から3年ぶりの完全新作であり、発売を心待ちにしていたファンも多いことだろう。そのなかには、久しぶりに「ポケモン」をプレイするという人もいるかもしれない。そこで今回は、あえて筆者と同世代の30代向けに、過去の「ポケモン」シリーズをプレイしていたなかで特に驚いたことを語りたい。

『64マリオスタジアム』出演者の巧みな戦術に脱帽

 まずは”初代”こと『ポケモン 赤・緑』について。同作では「ふぶき」が強すぎる、「きりさく」が急所に当たりすぎる、「ひでんマシン」の技をうっかり主力のポケモンに覚えさせてしまった、などなど、話題が尽きない。筆者の記憶も色褪せないものばかりだが、個人的には渡辺徹氏と加藤紀子氏などが司会を務め、1996年7月から2000年9月までテレビ東京系で放送された『64マリオスタジアム』に触れたい。

 同番組では「選ばれしポケモントレーナー(子ども)たちが『ポケモン 赤・緑』で通信対戦をする」というコーナーがあった。筆者も友達と通信対戦をしていたが、当時は「パワーこそ正義」だと思っていたため、例えばスターミーには「ふぶき」「なみのり」「サイコキネシス」「10まんボルト」など、ただただ強い技のみを覚えさせるという、安直なプレイをしていた。くわえて、相手の裏をかいてポケモンを交代する、という柔軟な戦術も使えず、よほど相性が悪くない限りはポケモンを交代せずに、正面からぶつかることしか考えていなかった。

 しかし『64マリオスタジアム』に登場したポケモントレーナーたちは、ポケモンを交代するタイミングが秀逸。さらに「かげぶんしん」や「リフレクター」といった補助技を巧みに使っており、「攻撃技ばかりだとダメなんだ…」と驚くとともに、勉強させられたものである。ちなみに『ポケモン 赤・緑』の話からはそれるが、『64マリオスタジアム』で今でも鮮明に覚えているのは、ヘラクロスが「きあいのハチマキ」で相手の攻撃を耐え、その後「きしかいせい」を連発して逆転勝利したバトルだ。

どうぐの「とうろく」などで移動がラクに

 続いては、”初代”の次の世代である『ポケモン 金・銀』。きのみやたまご、時間(朝昼夕)の概念が存在するなど、さまざまな要素が同作から追加された。地味なことかもしれないが、筆者が特に驚いたことは、セレクトボタンを押せば「とうろく」した道具をすぐに使用できることだ。たとえば、誰もがよく使う「じてんしゃ」。これを「とうろく」しておけば、いちいち設定画面を開いて「どうぐ」の中から選択する手間がなくなったのである。これは、本当に画期的だった。『ポケモン 赤・緑』では「どうぐ」の一番上に自転車を配置することでわずかながらの時短を図っていたが、そんな小細工はもはや必要なくなった、というところだ。

 移動といえば、『ポケモン ルビー・サファイア』ではストーリー開始後、早々に「ランニングシューズ」をもらえる。Bボタンを押せば走りながら移動できるようになるため、「じてんしゃ」を手に入れるまでは移動が大変だった『ポケモン 金・銀』に比べ、ストレスが減少した。また、『ポケモン ルビー・サファイア』から「なみのり」による移動時もスピーディーになったこともありがたかった。

とくせいという急過ぎる概念

 最後は、『ポケモン ルビー・サファイア』を中心に話したい。ダブルバトルやポケモンコンテスト、ひみつきちなど、これまではと違う楽しみ方が加わり、「ポケモン」シリーズを次のステージに移行させた印象もある同作。

 転換点となった同作において追加された、とくせい」というシステムが後の「ポケモン」シリーズにもたらした影響力はかなり大きいと言えるだろう。とはいえ、筆者は『ポケモン ルビー・サファイア』をプレイし始めた当時はこのシステムをよく把握しておらず、『ポケモン 金・銀』と同じテンションでプレイしていた。しかし、ドガースと対峙したときに初めて、この「とくせい」の恐ろしさに驚くこととなる。

 ドガースはどくタイプであるため、ヌマクローでじめんタイプの「マッドショット」を選んだが、なぜか効果がない。それもそのはず、ドガースには“ふゆう”というとくせいがあり、つまり浮いているからじめん技はきかない……ということらしい。このことを知ったとき、「それはそうだけど、暗黙の了解じゃん?」とうなだれた。しかし羽が生えており、どう見ても常時浮いていそうなドクケイルはふゆうを持っていない。そこで筆者は、いよいよパニックになった。

 このように見た目がアテにならないので、とくせいを把握していないポケモンと戦う際、じめん技を使うことに恐怖心を覚えるようになった。「とくせい」にはふゆう以外にもたくさん苦しめられ困惑もしたが、最終的にはタイプに縛られずよりポケモンをリアルにとらえられる、良いシステムと思うようになった。

 新作の『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』でも、まだまだ驚きが待っていることだろう。

『ポケモン スカーレット・バイオレット』の個性的でカオスな一般トレーナーたち 迷言や珍セリフも連発

「ポケモン」シリーズ初のオープンワールドを採用し、世界中が熱狂している『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット(以下『ポ…

『ポケモン スカーレット・バイオレット』で、嵐の日に強風で飛ばされる野生のポケモンたちを観測

話題沸騰中の新作ゲーム、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』。バトル直後にテツノワダチによって轢かれるギャラドスな…

『ポケモン スカーレット・バイオレット』、バトル直後に突然轢かれるギャラドスが気の毒と話題に

話題沸騰中の新作ゲーム、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』。逆立ちするコライドンや透明になるNPCなど、変わった…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる