芸人&YouTuberが推理と笑いの両立に葛藤 マダミス×お笑いイベント『マーダーマーダー』の奥深さと面白さ
2部 お笑い芸人チーム
マーダーマーダーは1部と2部同様の脚本で進むが、プレイヤーの推理や行動次第で結末が異なる。筆者は1部と2部も続けて鑑賞したことで、タレントごとに異なる立ち回りや、それに伴う満貫理子や三沢の反応やセリフの違いなど、別角度の楽しみを得られた。
殺人事件をコメディタッチに変える芸人たちの立ち回り
気心が知れた芸人たちによる阿吽の呼吸も2部の魅力だ。一人部屋が用意されている案内を受けた際にすかさず、「布団ですか? 布団じゃないと寝れないんだけどな……」とサツマカワが1ボケ。すると、重ねて檜原が「もちろん僕もベッドでは寝られないので……」と普段の劇場で行われているような掛け合いを披露。本人役だからこそ、悪ノリが成立するマーダーマーダーの真骨頂が発揮された。
依頼パートでは1部のベテランち同様、三沢にデレデレな檜原。ボディタッチをされた際に「もしかして僕に気があるのか……!?」と心の声が全て漏れてしまうほど動揺する場面はコミカルなギャグ漫画を連想させ、笑いを堪え切れなかった。
田島を置き去りにする、芸人たちの”同世代に刺さる至高のボケ”
推理パート中盤、被害者の大槻の荷物が現場にある空のトランクだけだったことが判明する。「トランクと言えば……『ハッチポッチステーション』の犬の名前もトランクだったな」とサツマカワ。ハッチポッチ世代の満貫理子は笑いを堪えられず、会場も同様だった。その後も「グッチ裕三」「ダイヤ……」「グッチ裕三の歌のパロディは当時の教育番組とは思えないクオリティだった」と長時間の被せボケが続く中、田島は「全然分かんない」と一蹴。
「伝わりにくいけど楽しい」という感覚から、一気に現実に引き戻してくれる役回りは今回のキャスティングでは必ず必要になる。別の場面でも、犯行時刻を割り出す重要なヒントを覚えていなかった賀屋に対して、「そこが大事でしょ。しっかりして」と先輩に対しても物怖じしない。この田島の性格はツッコミ役としてベストだっただろう。
芸人の性が推理の弊害に
真相に辿り着くことそっちのけでボケ倒していた芸人チーム。最初に田島の荷物を確認する際、「下着が入っているから見せられない」と言われる。ただ、「親子の世代だから私が見ようか?」という渡辺の申し出を「一番怪しいジジイ」「まだまだエロい歳だろ」と罵りながらもまさかの承諾。
また、賀屋は依頼パートで遺体を発見した際、部屋中を暴れ回るボケをかましていた。これによって部屋中に指紋が付きまくり、指紋に関する推理が難航。面白さを優先してしまう芸人の性が推理の弊害になっていた。
物語を何度も楽しめるマルチエンディング
推理パート終盤、言い訳しきれなくなったサツマカワは、「三沢が満貫利一の隠し子であること」と「三沢が満貫理子への復讐心があること」を暴露。すると、「このクソ役立たず!」と1部では温厚だった三沢が豹変。結末によって他の登場人物の行動も変わるなら、同じ脚本で異なるキャスティングのマーダーマーダーをもっと見たいと思わされた。
マーダーマーダーは12月4日21:00まで購入が可能、同日23:59まで視聴が可能だ。ネタバレや結末を見た上でも楽しんで視聴できるのが本作の特徴なので、興味のある方はぜひチェックしてみてほしい。
芸人・YouTuber・女優が本人役を演じ、従来のマーダーミステリーにはない要素満点のライブとなった「『マーダーマーダー』〜踊る貴婦人〜」。本配信のアーカイブはまだ購入できるので、ライブに来場した方もそうでない方もぜひ振り返ってみてはいかがだろうか。
放送作家・白武ときおが語る“音声メディアの未来” YouTubeラジオ局『PILOT』立ち上げの意図とは
『しもふりチューブ』 『みんなのかが屋』『ジュニア小籔フットのYouTube』『ララチューン』など、数々の芸人のYouTubeを…