Meta、ついに動く。『Meta Quest Pro』登場と、呼応するバーチャル業界各所の動き

『Meta Quest Pro』登場と各所の動き

 長らくベールに包まれていた「Project Cambria」の正体がついに明かされた。その名は『Meta Quest Pro』。10月12日にMetaが発表した、VR/AR両対応ヘッドセットだ。

 「Quest」の名を冠しているものの、立ち位置は『Meta Quest 2』の後継機種ではなく、ビジネス用途を想定したハイエンド機種である。現実世界の視界にバーチャルモニターやホワイトボード、3Dモデルなどを表示し、他のユーザーとそれらを共有しながら仕事を進める、といった使われ方が想定されているものだ。

Introducing Meta Quest Pro

 『Meta Quest 2』のアプリも起動できるようだが、1〜2時間という稼働時間を鑑みるに、ゲームやソーシャルVRには向いていないかもしれない。『Meta Quest Pro』と合わせて、MetaとMicrosoftの提携も発表され、「Microsoft Windows 365」やMicrosoft 365アプリ、Microsoft Teamsなども利用できるようになるというビジョンも提示されており、ここからもビジネスシーンでの利用が想定されていることがうかがえる。

 とはいえ、パンケーキレンズ採用による薄型化、量子ドットレイヤーLCD採用(それに伴ってか、ppiが37%増加、色域が1.3倍に?)、無段階調整のIPD(瞳孔間距離)、カスタムチップ「Snapdragon XR2+」搭載……など、技術的な特徴も目白押しで、デバイスマニアには気になる一台だろう。

 新コントローラー「Meta Quest Touch Pro Controllers」も発表された。こちらもコントローラー自体にSoCとインサイドアウト用カメラが内蔵されているなど、かなり特徴的なデバイスだ。価格は37,180円と高価だが、『Meta Quest 2』でも使用可能らしく、これだけ単品注文する人も出てくるかもしれない。

 多くの一般ユーザーが手を伸ばすべきデバイスとなるかは不透明だが、「XR」という領域を一歩押し進める画期的なデバイスとなるだろう。ビジネスシーンに自然と溶け込むXRデバイスとなることが期待される。

 Metaという巨人が動くと同時に、国内の新鋭・Shiftallも動き出した。同社が開発中のメガネ型VRデバイス『MeganeX』の仕様が、小出しで公開を始めたのである。とりわけ大きな情報公開は、「アウトサイドイン対応アダプター」の対応だろう。VRヘッドセット単独でトラッキングが成立する「インサイドアウト方式」と、外部センサーを用いて高精度なトラッキングを実現する「アウトサイドイン方式」が両立することが判明したのである。

 「インサイドアウト方式」は運用が手軽だが、動きの精度などを求めると自然と「アウトサイドイン方式」に行き着く。『MeganeX』はソーシャルVRの初心者からベテランまで、幅広くカバーするデバイスと言えるだろう。まだ全容は明らかになっていないが、非常に期待できるVRデバイスである。今後の情報開示にも期待したいところだ。

 アバター販売にも新たな潮流が生まれつつある。発売前から公開する体験ワールドに、「アバターの改変例」も配置するという手法だ。『VRChat』アバター向けギミックを手掛けるクリエイター集団「VRC合法チート研究会」が製作したオリジナルアバター『チセ - chise -』にて、この手法が実践された。

【チセ - chise - 】オリジナルアバター紹介動画‼️

 『VRChat』向けアバターは、自分好みの衣装や髪型、カラーリングに変更する「アバター改変」の文化がメジャーになりつつある。衣装改変の一例を体験ワールドに配置するのは、アバターと関連商品の宣伝・展開事例としてとても理に適っている。アバターという商品の可能性を最大に引き出す施策として、今後スタンダードになっても不思議ではない。大手アパレルも参入するメタバース向けアバター業界の、さらなる発展に期待したい。

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