国産FPSは「ガンダム」と共にあった? プレステ初期から『ガンエボ』へ繋がる系譜を読み解く
『機動戦士ガンダム 戦場の絆ポータブル』(2009年/プレイステーション・ポータブル)
2006年のサービス開始以降、15年にわたってアーケードゲーム業界に名を轟かせた『機動戦士ガンダム 戦場の絆』。半球状のドーム型筐体に入ってリアルなMSパイロット体験が楽しめる同作は、4対4〜8対8のチーム戦に特化。近距離型や射撃型といった特性の異なる機体が用意され、プレイ中は各々の強みを生かした立ち回りが求められた。このエッセンスを受け継ぎ、いつでもどこでも遊べる携帯ゲーム機へ落とし込んだのが『戦場の絆ポータブル』というわけだ。
操作系統および各種アクションは『ブルーデスティニー』の流れを汲んだ上で順当なアップデートを重ねた印象だが、「射撃」「格闘」「タックル」の三すくみが追加されたことで、戦闘時の読み合いが深化。加えて機体スペックや得意なシチュエーションがしっかりと差別化されており、チームを勝利へ導くためには戦況(マップ地形を含む)を鑑みた戦い方がマストとなる。ゲームルールこそ違えど、「チームメンバー同士が手を取り合う」「役割に見合った戦い方で選曲を有利に運ぶ」など、いくつかの面で最新作『ガンエボ』に通じる要素が見受けられた。
国産FPSの歴史を語る上で欠かせない「ガンダム」シリーズ作品。「ロボットもの特有のコックピット視点はFPSと似て非なるもの」という言説も一部で見られるが、仮にそうだとしても、作品を重ねるごとに従来のFPS作品に近い形式へ繋がったのは注目すべき事実と言える。正式リリースから2週間を迎えた『ガンエボ』は、はたしてFPS界隈、ひいてはeスポーツ市場にどのような影響を与えるのだろうか。今後の動向に期待したい。
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