朝倉未来、安保瑠輝也、竹原慎二……格闘家YouTuberによる「喧嘩自慢との殴り合い」はなぜ人気?
プロボクシング元世界チャンピオン・竹原慎二の“喧嘩自慢撃退動画”が驚異的な再生回数を記録している。
YouTubeチャンネル「竹原テレビ」で2022年8月31日、9月3日、9月8日に投稿された本動画シリーズは、竹原の経営するジムに乗り込んできた喧嘩自慢たちを、竹原やこの日ジムに居合わせた元K-1 WORLD GPスーパーウェルター級王者・木村“フィリップ”ミノルらが鉄拳制裁するというものだった。
土足禁止のジムに土足で上がり込み、舐めた態度で喧嘩を売る喧嘩自慢たちと竹原による一触即発の空気。そこに、竹原サイドの助っ人として元K-1王者の木村が割って入るというアツい展開。そして、スパーリングにて繰り広げられるスカっとするKO劇……完成された勧善懲悪のリアリティーショーは抜群の注目度を誇り、8月31日公開の動画は331万再生、9月3日公開の動画は538万再生、9月8日公開の動画は433万再生をマークしている(9月24日時点)。
そもそも、YouTubeにおいて「vs喧嘩自慢」の動画を発明したのは、朝倉未来だ。朝倉は2019年6月5日、「街の喧嘩自慢にプロ格闘家がスパーリングを申し込んだらやるのかやらないのか」と題した動画で、一躍、YouTuberとして大ブレイク。以来、彼は地元・愛知県豊橋市にはじまり、大阪、福岡、東京と、まるで巡業のように各地を巡り、その土地の喧嘩自慢と拳を交え、再生回数を荒稼ぎしている。
以来、朝倉の「二匹目のドジョウ」を狙ってか、「プロ格闘家vs街の喧嘩自慢」という構図の動画は爆発的に増えた。K-1ファイター・安保瑠輝也のように朝倉が開発したフォーマットをほぼそのまま模倣する者もいれば、コスプレをして戦う初代K-1 WORLD GPウェルター級王者・久保優太のように独自のエッセンスを加える者もいる。いずれにしても、格闘家YouTuberにとって「vs喧嘩自慢」企画は、安定的に再生回数が稼げるドル箱コンテンツとして親しまれてきた。
そんな中、真打ち登場とばかりに、この「vs喧嘩自慢」企画に参入したのが竹原だった。YouTubeでは、美容系YouTuberならメイク動画、物申す系YouTuberなら時事ネタ、暴露系YouTuberであればゴシップネタといったように、そのYouTuberだからこそできる“ならではの動画”が求められる傾向にある。その意味において、伝説的バラエティ番組『ガチンコ!』(TBS系)の名物企画「ガチンコファイトクラブ」で、幾人ものヤンチャなクラブ生を相手に厳しさと愛情をもってコーチを務めた竹原ほど、喧嘩自慢企画に適した人間はいない。
事実、竹原テレビにおける「vs喧嘩自慢」企画の再生回数は異常に高く、100万再生超えを連発している。特に21年5月15日に公開された「【超ビックマウス】竹原を舐め切った喧嘩自慢の若造が殴り込み!ガチスパーリングで鉄拳制裁!」と題した動画は1205万再生、その続編にあたる同5月18日公開の「竹原なんて余裕っしょ!舐めた喧嘩自慢野郎とスパーリング!」と題した動画は956万再生と驚異的な数字を叩き出している(9月24日時点)。「喧嘩自慢」関連動画でここまで突出した結果を残したYouTuberは、朝倉を除いて存在しないと思われる。
なお竹原は先述した3本の動画をもって、喧嘩自慢と戦うことはしないと明言している。今後、喧嘩自慢企画で朝倉や竹原と比肩するほどのバズを見せる格闘系YouTuberは現れるのか。新たな猛者の登場に期待したい。
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