話題となった“サンリオ版Dead by Daylight” カジュアル化×コンテンツの組み合わせは多くの人に届く秘訣か

サンリオ版Dead by Daylight、なぜ話題に?

課題はバランスと「Pay to Win」

 そんな本作だが課題も少なくない。たとえば、ゲームバランスの問題や、課金要素が試合の勝敗に関わってくる「Pay to Win」的な要素がそれだ。ゲームバランスについては、100秒という短い時間で全員を捕まえなければいけないことから、チャレンジャー側が有利だという声がSNSや各種レビューでは見られ、実際にプレイした筆者もそう感じた。また、スキルについてもチャレンジャー側はCPUを含む全員が、移動速度増加や一定時間無敵といったスキルを使用可能なため、2人しかいないハンター側は苦戦を強いられやすい。こうした現状では、CPUなしのオンライン対戦の実装は難しいだろう。

 また、本作ではキャラクターをガチャで手に入れていくことになるのだが、すでに持っているキャラクターを再度引くことで手に入る素材で、そのキャラクターのレベルをあげることができる。キャラクターはレベルが上がることで新たなスキルが解放されるだけでなく、移動速度も上昇する。そのため、課金してガチャを引き、キャラを育成すれば試合を有利にすすめることができてしまう。本作のようなライトなゲームでも、こうした「Pay to Win」的な要素を不公平だと感じる人も少なくない。

 人気キャラクターを用いたゲームは話題に上がりやすく、リリース直後は多くのユーザーがプレイしてくれるが、ゲーム性に魅力がなくては本作の寿命は短くなってしまうだろう。他社のIPを使用したタイトルはコストが高くつきやすいことも考えると、なるべく早い段階で、ゲーム体験の面白さと、サービスを持続させるための収益をどう両立させるかを考える必要があるかもしれない。

ライト×キャラコンテンツは競技系ゲームにも

 ゲームの歴史を見ると、時代の流れの中で、複雑なゲームをプレイしやすく再構築し、コアゲーマーだけでなく多くの人に届けられるようなタイトルにしてリリースした例は枚挙にいとまがない。時には、そこから新たなゲームジャンルが生まれることもある。例えば「ローグ」をプレイしやすくした「不思議のダンジョン」シリーズや、格闘ゲームのアンチテーゼとしての「スマブラ」シリーズといった具合にだ。

 スマホゲームは、PCやコンシューマー向けのタイトルを、スマホ向けに簡単な操作で短時間でプレイできることをウリにしたものが多い。しかし、それだけではなく今後は『サンリオミラクルマッチ』のように、そのスマホゲームをさらに簡略化し、人気コンテンツの力を活かしてより幅広い層に提供するようなゲームも一層増えていくのではないだろうか。

 特に、競技性の高いeスポーツタイトルの多くは、勝ちを真剣に目指す楽しさを感じられる一方で、競技性の高さゆえにヘビーゲーマー向けになりがちで、ライト層や、普段ゲームをあまりプレイしない人には届きづらい。だからこそ、本作のようなカジュアルに遊べるタイトルには一定の需要が存在する。

 実際本作は、PC版『DbD』をスマホ向けに遊びやすくした『第五人格』を、さらにカジュアルにしたようなゲームとなっている。それがサンリオキャラクターという人気コンテンツと合わさることによって、非対称性ゲームを複雑だったり、プレイ時間が長いと感じていた人や、残酷な描写が苦手だという人にも、プレイするきっかけを提供したのではないだろうか。

 本作以外にも、MOBAとポケモンを組み合わせた『ポケモンユナイト』や、モルカー版の『ロケットリーグ』など、競技ゲームをシンプルにし、人気コンテンツと組み合わせる作品はいくつか存在している。特に『ポケモンユナイト』は、PCゲームの『LoL』、それをスマホ向けにシンプルにした『でんせつえいゆう』のようなタイトルを、より多くの人に分かりやすいライトな形にしたタイトルで、コア層にしか届いていなかったMOBAジャンルを多くのライトユーザーに届けた作品だ。

 こうしたタイトルは、これまでそのジャンルに触れてこなかったユーザーを獲得できるだけでなく、より複雑なタイトルへの導線にもなり得る。また、競技性の高いタイトルは海外でも人気であり、海外市場での売上も期待できるといったメリットも考えられる。こうした点を踏まえると、今後も本作のようなタイトルは増えていくだろう。

 少し脱線してしまったが、『サンリオミラクルマッチ』はライトな層にもオススメできる非対称性対戦ゲームなのは間違いない。今後の展開に期待するだけでなく、サンリオのコンテンツ力を活かした新たなゲームにも期待したいところだ。

©2022 SANRIO CO., LTD. APPR. NO.S622053
©Imagineer Co., Ltd.
©Rock Spirits Co., Ltd.

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる