販売終了のiPodが残した功績とは　約20年の歴史を振り返る

　Appleは5月、音楽プレーヤー「iPod touch」の販売を終了すると発表した。これにより、2001年から始まったiPodのラインナップはそのすべてが役目を終えたことになる。iPodは私達と音楽との関わりに、どのような影響を与えたのだろうか。

デジタル音楽プレーヤーの革命だったiPod

　AppleがiPodを世に送り出したのは、2001年のことだ。それまでもデジタル音楽プレーヤーは何機種か登場しており、ブームを起こす下地はできていたが、製品や音楽ファイルを取り扱うソフトウェアの完成度の低さ、そして著作権の問題により、誰もが気軽に利用できる製品ではなかった。

　しかしiPodは著作権保護機能をそなえたフォーマット「AAC」を導入することで、この問題を解決。また、音楽ファイルの再生／管理ソフト「iTunes」の使い勝手も当時は群を抜くもので、その後に他社の音楽プレーヤーに大きな影響を与えた。

　iPodの機能とデザインも画期的だった。本体上部にディスプレイ、下部にはホイールをそなえ、プレイリストや楽曲の選択、曲送りや戻し、ボリューム調整などの操作をホイール部分にまとめ、直感的な操作性を実現した。

音楽の楽しみ方を広げたiPod shuffle

　2005年から販売が開始された「iPod shuffle」にも、触れないわけにはいかない。本モデルは大胆にもiPodからディスプレイを取り除き、音楽のシャッフルプレイ（あるいはプレイリスト順の再生）に絞ったモデルだ。またフラッシュメモリを内蔵ストレージとして用いることで、小型な本体サイズを実現している。

　第2世代のiPod shuffle（上画像）では、ボタンを備えた本体にクリップという、大幅な小型化を実現。かばんやポケットの中だけでなく、服にクリップで取り付けてジョギングやエクササイズにも持ち出すことができた。

　iPod shuffleにディスプレイを追加した「iPod nano」も、人気のモデルだった。本体を小型化した第6世代モデルでは、腕時計型のバンドにはめてスマートウォッチとして利用する、サードパーティー製品が登場したことでも話題となった。