ジョニー・デップの裁判映像がYouTubeやTikTokで大流行 DV軽視を指摘する声も
2016年に結婚生活が破綻したジョニー・デップとアンバー・ハードの裁判の映像がソーシャルメディアに溢れ、ジョークのように扱われている。
今回の訴訟はの発端となったのは「#MeToo」運動の中で、ハードが2018年にワシントン・ポストに寄稿した家庭内暴力についての意見書だった。記事にデップの名前はなかったが、2019年、デップはハードが自分を中傷し、そのせいで仕事に損害が出たと主張して彼女を訴えた。翌年、ハードも応訴した。
2022年4月からバージニア州で裁判が始まり、ハリウッドスターの2人が法廷に立つ様子は連日ライブ配信され、数百万人が視聴している。
YouTubeやTikTokで「Depp」や「Heard」と検索すると、「Johnny Depp Destroys Amber Heard's Lawyer(ジョニー・デップがハードの弁護士を論破)」といったタブロイド紙のようなヘッドラインがついたショートクリップが大量に見つかる。
テキサス州に住むマーク・ムッソは、ハードの弁護士の視点から歌を作った。ポップミュージックのビートに合わせ、「昔は尊敬されていた。人々は私の言葉を信じてくれた。そして、アンバー・ハードの弁護士になったんだ」と歌った。彼の楽曲はYouTubeとTikTokに投稿され、2週間足らずで1500万回以上再生された。
@pettyparrot I shouldn’t have access to animation software. 💩 #johnnydepp #amberheard #justiceforjohnnydepp #amberturd #fypシ ♬ original sound - Alice
ウェールズ在住のプロイラストレーターであるアリス・パークスは、実際の裁判の音声に合わせたアニメーションを作成した。彼女のアカウントのフォロワーは50人ほどだったが、最初の動画が1200万回以上再生されて大流行。さらに3本の動画をヒットさせた彼女のフォロワーは約10万人に増え、現在は動画の再生回数に応じて報酬が支払われる「TikTok Creator Fund」に参加している。
スリランカのラヒル・ダーシャは、人気ゲーム「グランド・セフト・オート」のプレイを配信するYouTubeチャンネルを持つ学生だ。彼は数ヶ月ごとに約100ドルの広告収入を得ていた。
裁判の動画を投稿し始めると数日で数百万回の再生回数を記録し、1万ドル以上稼いだ。しかし5月に入って数日、ダーシャはYouTubeの収益が落ちていることに気付いた。YouTubeが裁判のダイジェスト動画を投稿するアカウントにペナルティを与えているという噂を聞き、それらの動画を非公開にした。記者はこの件についてYouTubeにコメントを求めたが、回答はなかった。
YouTubeが本当にペナルティを加えているとするならば、この裁判の異様な盛り上がりに対する批判を汲んでのことかもしれない。裁判の様子を嘲笑する風潮によって、人々が家庭内での暴力や虐待を深刻に受け止めなくなる危険性があると批評家は指摘する。
性・文化評論家のエラ・ドーソンは「家庭内暴力はジョークではない」と、Twitterに投稿。「20年後、人々はこの裁判とすべての報道を振り返って、嫌悪感を抱くだろう。すでに嫌悪感を抱いている人もいる」と語り、一連のスレッドは共感を得て、バイラルした。
(画像=TikTokより)
〈Source〉
https://www.cnet.com/culture/the-johnny-depp-vs-amber-heard-trial-is-dominating-tiktok-and-youtube/