デンマークにある法律のない都市とは 海外の旅行系YouTuberが体当たりで突撃

 アメリカの人気旅行系YouTuber「Yes Theory」(チャンネル登録者数746万人)が、法律のない”最後の無法都市”である、デンマークのクリスチャニア(Christiania)を訪れる動画を投稿した。該当の動画は、2022年5月2日公開の「Last City in Europe with No Laws」。

Last City in Europe with No Laws

 クリスチャニアは、デンマークの首都コペンハーゲン市内のほぼ中心部に位置する、自治を自称する自治区である。政府の力が及ばない自由なエリアとして知られ、デンマークでは違法な大麻が黙認されている地域でもある。1971年、廃墟となっていた軍の兵舎にヒッピーたちがフェンスを越えて侵入するようになり、現在のクリスチャニアができあがった。過去、政府による制圧があったものの、当時の市民が激しく抵抗したため、現在は黙認されているエリアとなっている。

 現地では、Yes Theoryのチャンネル登録者である男性が案内してくれた。街はヨーロッパの田舎という雰囲気で、色とりどりの建築物が並んでいる。無法都市と言われるが、動画では市民がふつうに暮らしているように見える。

 一方でクリスチャニアは、写真や動画の撮影に厳しく、特に「Pusher Street」と呼ばれるエリアは全面撮影禁止となっている。なぜなら、デンマークで違法の大麻が販売されているため。ただし、黙認されているとはいえ麻薬の取り締まりも厳しくなっており、実際に動画内ではビニール袋をもった男性が警察に取り締まりを受けているシーンもあった。このように日本では考えられない異様な光景が、クリスチャニアでは繰り広げられている。

 Yes Theoryのおもしろいところは、このような危険な地域に入り込み、現地の人と積極的に交流を図ったり、インタビューしたりする点にある。それも過激に動画を撮影するのではなく、街を尊敬しながら真摯な姿勢で市民に向き合う。実際に、クリスチャニアの歴史資料館の館長であるという男性にインタビューしているシーンがあった。彼によると、クリスチャニアは、現代で実際にアナーキズム(無政府主義)が成功した都市だという。またクリスチャニアは自由を愛する都市でもあり、中には「死ぬまでここにいる」と語っている住人もいた。YouTubeだからこそ実現できる、より街の内情まで踏み込んだ動画を見たい方は、この機会にぜひ視聴してほしい。

 なおクリスチャニアは、海外では観光地として有名だが、デンマークの法律が及ばないので危険な都市であることには変わりない。実際に外務省が海外安全情報で十分注意するように警告しており、過去、警察による取り締まりに対し武装した売人が発砲した事例もあるとのこと。もしクリスチャニアに行きたい方がいれば、細心の注意を払って訪問してほしい。

(Source)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbcrimesituation_164.html

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