『ポケモン』ケンタロス、フーディンが使用禁止だからこそ盛り上がった『ニンテンドウカップ'99』の魅力を改めて振り返る

ポケモン『ニンテンドウカップ'99』の思い出

 『ポケットモンスター ソード・シールド』を使用した公式インターネット大会『ポケモンジャパンチャンピオンシップス2022』が開催され、5月上旬にはその予選大会が実施された。

 『ポケットモンスター』の大会には、長い歴史がある。第1回は『ニンテンドウカップ'97』と題した大会が1997年に開催されており、ここまで続いている現状を鑑みると、いかに愛されているタイトルなのかを感じさせられる。ちなみにポケモンの大会と言えば、個人的には1999年に開催された『ニンテンドウカップ'99』(以下、99カップ)が印象深い。そこで今回は、『99カップ』の思い出を語っていきたいと思う。

ケンタロスに代わるポケモン探しに奔走したプレイヤーたち

 そもそも、『99カップ』のルールは“前年度・前々年度の公式地区大会を優勝した代表者が決勝大会で使用したポケモンとミュウツー・ミュウ以外が出場できる”というもの。ケンタロスやスターミー、サンダースといった、これまでの大会で活躍していたポケモンが軒並み使用できなくなった。裏を返せば、これまで日の目を浴びていなかったポケモンにスポットライトを当てた秀逸なルールと言える。

 とりわけ、当時の最強ポケモンだったケンタロスに代わる、ノーマルポケモン探しに奔走したトレーナーは多い。ケンタロスは攻撃力・素早さが高く、「じしん」を覚えられるハイスペックなポケモンだったが、これらを満たすポケモンはなかなか見つからなかった。

 それでも『99カップ』では、能力のバランスが良いピクシー、素早さが高く「いかりのまえば」を使用できるラッタなどが、ポテンシャルの高さを見せた。そんな中、99カップで一番活躍したノーマルタイプはペルシアンだろう。当時のポケモンでは「はっぱカッター」や「からてチョップ」といった急所にあたりやすい技が非常に強力であり、素早さが高く先攻で「きりさく」を出しやすいペルシアンは重宝された。

神コスパの「ドわすれ」

 これまでの大会では、ケンタロスの「はかいこうせん」、サンダーの「かみなり」、フーディンの「サイコキネシス」など、派手な技が大会を盛り上げてきたが、『99カップ』では、火力は高くないが使い勝手の良い技が注目された。特に存在感を発揮したのは「ドわすれ」。当時のポケモンは「とくこう」「とくぼう」に分かれておらず、「とくしゅ」と一括りにされており、1回使えば「とくこう」「とくぼう」を同時に2段階上げられる神コスパを誇る技だった。

 そして、「ドわすれ」を武器に大活躍したのがヤドラン。エスパータイプにもかかわらず防御力が高く、「ドわすれ」を1回使用するだけでも、弱点のでんき技やくさ技はかすり傷程度と、まさに鉄壁を誇っていた。加えて、「ふぶき」「サイコキネシス」「なみのり」「のしかかり」など、強力な技を覚えることができ、多くのトレーナーに愛された。

 また、能力を上げる技だけでなく、打点は低いがいやらしい特性を持つ「まきつく」も猛威を振るった。当時の「まきつく」は巻き付かれている状態では技が出せず、一方的にダメージを受けなければならなかったため、「どくどく」と組み合わせた恐ろしいコンボも流行。この2つの技を覚え、攻撃力に優れたウツボットが大活躍した。

 『99カップ』が無ければ、こういった技の奥深さが周知されることはなかったかもしれない。ポケモンだけでなく、「この技、結構使えるかも」とやり込み要素を与えた、という意味でも意義のある大会だったと言える。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる