『ゼルダの伝説 時のオカリナ』、なぜ“ビデオゲームの殿堂入り”に? ゲーム業界の歴史を変えた「革新性」とは

『ゼルダの伝説 時オカ』が“ビデオゲームの殿堂入り”

「ゼルダ」シリーズの分岐を描いた転換点。3D化に伴い”怖さ”も倍増

 初代『ゼルダの伝説』の発売から実に36年をかけて作品数を重ねてきた「ゼルダ」シリーズ。その歴史において、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』は重大な分岐点を任されている。

 始まりこそコキリの森に住む少年の“ちょっとした冒険”だが、話が進むにつれ、同作では2つの時代(少年・大人)を行き来する壮大な物語が顔を覗かせてくる。そして“時の勇者の勝利or敗北”という結末の違いにより、シリーズのその後は大きな変化を迎え、後続タイトルが辿る史実や達成すべき目標も往々にして異なっていく。こうした深みのあるストーリーテリングも革新的なゲームシステム面と同様、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』が全世界で評価される要因となっていることは想像に難くないだろう。

 また、個人的に初の3D化に伴って倍増した“怖さ”についても言及しておきたい。同作は「ゼルダ」シリーズ初の3Dアクションアドベンチャーと言うこともあり、フィールド内の温度や空気といった情感だけでなく、ダンジョンの厳かさ、プレイヤーの助言を与える主要キャラクターの貫禄なども格段に伝わりやすくなっていた。

 その片鱗はいたる箇所で顕著に現れていたのだが、筆者がとりわけそのインパクトを感じたのが、作中にたびたび登場する敵モンスターたちだ。

ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D 井戸の底 / Bottom of the Well

 大人時代のハイラル城下町に出現するゾンビのような敵モンスター「リーデッド」をはじめ、全身に包帯を巻いた不気味な怪人「ギブド」や虚ろな黒目にむき出しの歯が恐怖心を煽る「デドハンド」は作中屈指の“トラウマモンスター”として知られている。また敵モンスター以外にも「井戸の底」(リーデッドが徘徊)、「スタルチュラハウス」(人面蜘蛛が生息)といったスポットも存在し、年齢層を問わず多くのプレイヤーに忘れがたい衝撃を与えた。

 ちなみに、同機種で発売された続編『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』のキャッチコピーは「今度のゼルダは怖さがある」だが、はっきり言って『時のオカリナ』も十分に怖い。そして怖さはゲームの臨場感を図る上で注目すべきファクターであり、そういった観点から見ても、演出面における『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の完成度は抜群に高かったと言えるだろう。

 アクションゲームを再定義し、ビデオゲームの歴史に名を刻み込んだ『ゼルダの伝説 時のオカリナ』。一度遊んだことがある方も、この機会にソフトを引っ張り出してハイラルの世界をじっくり探訪してみてはいかがだろうか。

(C)1998-2011 Nintendo

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