ゴルフをもっとスタイリッシュに魅せたい! テックを推進するインフルエンサーたち

ゴルフをもっとスタイリッシュに魅せたい!

 ゴルフといえば中高年が好むスポーツだ、というイメージを持つ人が多いのではないだろうか。服装規定があったり、ビジネスマンのコミュニケーションツールになっている側面もあり、このイメージは長く定着している。

 しかし海外では「権威的なスポーツというイメージを変えたい」「もっと親しみやすいものにしたい」と声をあげる人が増えている。彼らが危惧するのは、既存のイメージが新規参入者を阻むことによるゴルフ人口の先細りだ。

 彼ら、彼女らはTikTokやYouTubeに動画を投稿したり、Spotifyでポッドキャストを配信したり、あるいはファッショナブルなゴルフウェアを製作し、Instagramに写真を投稿したりと、SNSを活用することでより幅広い人にゴルフを広めようと活動している。

 デザイナーのStephen Malbon氏とErica Malbon氏はゴルフウェアのブランドを立ち上げた夫婦で、彼らが手掛けるのは単なるゴルフウェアではなく、ハイブランド好きやストリートファッション好きにも受け入れられるようなデザインを目指しているという。

 過去Stephen氏がセレブな友人たちをゴルフに誘ったとき、断られてしまうばかりか「絶対やだ。なんでゴルフなんか……」と拒絶されてしまったという。

 そこでStephen氏は、既存の一般的なゴルフウェアであるポロシャツやスラックスに対して「オジサン臭いというイメージがあるのでは」と考えた。そこで、ブティックを経営する妻のErica氏と共に「よりスタイリッシュに」というテーマを掲げたウェアを開発し、Instagramを活用して宣伝を始めた。

 その後、夫妻はバケットハットやパーカー、ジョガーパンツなど、既存のゴルフウェアとは一線を画したカジュアルなウェアを携えて「MalbonGolf」を立ち上げる。ロサンゼルスの店舗にはTravis Scottをはじめ多数のインフルエンサーが訪れるなど人気を博しているとのことだ。

 ファッションだけでなく、ゴルフ界の権威主義的な性質を嫌い、SpotifyやYouTubeを活用する人もいる。ポッドキャスターのRiggs氏や、YouTuberのRick Shiels氏がそうだ。

 「Barstool Sports」というゴルフメディアでライターとしても活躍するRiggs氏はトッププロをポッドキャストのゲストに迎えていたことで、過去に「プレス用パスを持つ一般ファン」と他メディアから揶揄されたこともある。

 Riggs氏は「ゴルフ界には、頭の固い人が大勢いる。ゴルフはこうあるべきという古い概念にとらわれていて、それ以外の方法でゴルフを広めようとすると反対するんだ」と語り、「そういう人たちがいるから、ゴルフを始める人が減るんだ」と批判している。

 彼のポッドキャストでは、堅苦しくゴルフについて語るのではなく、ゴルフをすることや、ゴルフ観戦の楽しさを気軽に語ることで、「親しみやすさを持ってもらう」ことをモットーにしている。

 イギリスのYouTuberであるRick Shiels氏は、もともとはゴルフ練習場の無名の講師だったが、YouTubeへの動画投稿を通じて一躍人気になったコンテンツクリエイターだ。現在では140万人の登録者数を誇るチャンネルを運営するRick氏だが、もともと動画投稿を始めたのはゴルフ講師として注目してもらうために過ぎなかった。

 彼の動画がこれほどまでに反響を呼ぶ理由について、Rick氏は「本当にシンプルなアドバイスに留めているから」と分析し、「ややこしくゴルフのノウハウについて講釈を垂れるのではなく、気軽に楽しんでもらえるよう心がけている」と語る。

 また、スポンサーや広告などを極力排し、YouTubeの動画視聴による収益で賄っているのもポイントだという。ただ金儲けのためにYouTubeをしていると見られないよう気をつけているようだ。

 日本でもゴルフといえば「おじさんがやるもの」「サラリーマンが接待でやるもの」というイメージが強いが、Travis Scottなどが「MalbonGolf」のウェアを着用してゴルフを楽しんでいる姿が若者の目に触れるなど、人気のインフルエンサーによってそれも変化していくかもしれない。

〈Source〉
https://www.golfdigest.com/story/future-of-golf-nine-influential-voices/amp

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