エイリアンの声はドライアイスとピアノで作る! 『Halo』シリーズの効果音製作チームが裏側を紹介

『Halo』効果音製作者が語る“エイリアンの音”

 Microsoftが発売した『Halo』シリーズは、宇宙を舞台にしたFPSゲームだ。宇宙に進出した人類がエイリアンの脅威に立ち向かうSF作品で、作中には多様な武器、生物や乗り物が登場する。

 米INSIDER誌が最新作『Halo Infinite』の開発チームに行ったインタビュー動画で、作品に使用された効果音がどのように製作されたかを紹介している。作中に使用されている効果音や環境音は、もちろんすべてこの地球上に存在するものを利用して製作されている。プレイヤーキャラクターが大地を踏みしめる音、光線銃を発射する音、そして宇宙人の声など、多種多様な音はどのように作られているのだろうか。

 リード・サウンドデザイナーを務めるKyle Fraser氏はインタビューに「映画などではシーンに合わせた効果音を収録すれば良いけれど、僕らはそうじゃないからね」と話し、膨大な数の音声を収録したと語る。

 動画の最初に登場するのは愛くるしいパグ犬のバディ(Buddy)とギョーザ(Gyoza)。二匹は開発スタジオのアートディレクターの愛犬で、本作に登場する地球外生命体の声優でもある。彼らの鳴き声は架空の小動物の音声として利用されている。

 次に登場するのは掃除機だ。『Halo Infinite』には「グラップルショット」と呼ばれる、ワイヤーを利用してフィールドを飛び回れる装備が登場する。そのワイヤーを巻き取る際の効果音は、この掃除機の電源コードを巻き取る音だという。

 プラズマ光線銃にエネルギーをチャージする際の音は、初代Xboxの内部で発生する電磁波から製作されている。さらにユニークなのは、その光線銃を発射する時の音だ。なんとスイカを約2800度まで加熱し、破裂した際の音を利用している。

 次に登場するのは古い廃ピアノで、こちらは余すところなく利用されている。地面や建造物に向けて銃を撃った際の効果音として、ハンマーやバットで叩き壊す音、コンクリートブロックを叩きつける音などを録音している。

 ドライアイスとピアノ弦を組み合わせ、押し付けたり、こすりつけたりすると高周波音を発生させる。Kyle Fraser氏は「ドライアイスは便利で、とてもSFっぽいサウンドがするんだよね」と、効果音製作の現場には欠かせないアイテムだと力説する。それらの音は高所からの落下時に発生する空気との摩擦音や、エイリアンの音声など様々なシーンで利用されている。

 作品に登場する戦車の音は、キャタピラを備えた蒸気式の古いトラクターの駆動音から製作されている。現実世界の1980年代に製造されたトラクターの駆動音が、2553年の宇宙を舞台にしたSF作品で使用されているのだ。Kyle Fraser氏は「古いトラクターなんかは、現代の我々にとって耳馴染みが無い音を出すからね」と、あえてビンテージの重機を好んで使用しているのだという。トラクターやタイプライターはがちゃがちゃとした金属音が鳴るため、SF作品にぴったりなようだ。

 こうした効果音製作の現場においては、時には身近な生活音でさえも使用される。製作チームの一人、Jomo Kangethe氏はスラスター噴射で空を飛ぶ乗り物の効果音を担当していた際、「朝起きていつものようにコーヒーを淹れていた時に気付いたんだ。『これだ!』ってね」と話し、コーヒーメーカーの音をその場で録音したという。

 ここで紹介したのはほんの一例で、動画本編ではガチョウの声から大型生物の鳴き声を作る様子など、沢山の効果音の”元ネタ”が紹介されている。興味がある方は是非視聴して欲しい。

〈Source〉
https://www.youtube.com/watch?v=AjpZEzP-I2Q

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