デトロイトのラッパー、eスポーツチームと『GTAオンライン』内で契約を締結

オンラインゲームの中で契約を締結

 デトロイト出身のラッパー、Tee Grizzleyがeスポーツチーム「XSET」とのパートナーシップ契約を結んだ。

 彼はラッパーとして活動するかたわら、Twitchでゲーム配信なども行っている熱心なゲーマーだ。契約は彼が運営する『GTAオンライン』のサーバー「Grizzley World RP」内で行われた。

 この瞬間を目撃したJake Lucky氏は動画を撮影し、「GTAのサーバーでeスポーツチームがラッパーと契約してるんだけど……(笑)」とTwitterに投稿した。動画では、GrizzleyのアバターがXSETの担当者からゲーム内で電話を受け、仲間と共にGTAオンラインのスパに移動し、契約を結ぶ様子がまとめられている。

 今回のパートナーシップ契約の内容は、XSETが前科がある人々にゲーム機を提供し、Grizzleyが彼らをサーバーに招待するというもの。ゲームや配信について学ぶことで、インターネットを通じてお金を稼ぐ方法を学び、社会復帰をサポートするというものだ。Grizzleyは「XSETと共に、俺のゲーミングチームをより一層盛り上げることができる。楽しみだぜ」とコメントしている。

 実はTee Grizzley自身も2014年に強盗の罪で服役しており、その後の辛い状況をゲームが救ってくれたという。彼は「俺は楽しくゲームをプレイするのが大好きだけど、ゲームは俺の中でただの遊びを超えたんだ。ゲームが人の人生を変える様を目の前で見てきたし、今後は俺のように苦労した人や、逆境に苦しんでいる人々の助けになりたい」と述べている。

 また、こうした契約が『GTAオンライン』という仮想世界で行われたことは、Tee GrizzleyやXSETのファンだけでなく、メタバース業界にとっても大きな意味を持つ。仮想世界の中で出会い、現実世界に関する取引を行うというのは、まさにメタバースの掲げるコンセプトそのものなのだ。

 「メタバースで何ができるのか」「何が変わるのか」といった疑問に対して、明確な答えを見てわかる形で示しているのもポイントだ。ただの流行語に留まらず、これから訪れると言われている「メタバース時代」の前兆にも見える。

 メタ社の掲げた理念によって大きく話題になった「メタバース」という言葉は、その先進性が盛んにもてはやされている。しかし今回の舞台となった『GTAオンライン』や『セカンドライフ』など、彼らの見据える未来に近いプラットフォームはすでにいくつか存在しており、実はメタバースという概念はすでに身近に存在しているのだと気付かされる。

 Tee GrizzleyとXSETのパートナーシップ契約を記念して、Grizzley World RPでは「Tee Grizzley×XSET」のコラボレーション商品が販売される。プレイヤーはゲーム内で着用可能なTシャツを購入できるとのことだ。その売り上げも今回の支援に充てられるということで、これもまた現実世界と仮想世界がリンクする良きサンプルといえる。

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