『Weekly Virtual News』(2022年4月11日号)
「ぽんぽこ24」開催とMori Calliopeのメジャーデビュー 大きな動きが続いたVTuberシーンに、メタバース界隈が学べること
今年も、あの祝祭がやってくる。VTuberの甲賀流忍者ぽんぽことピーナッツくんが企画・運営を行う、24時間YouTube生放送企画「ぽんぽこ24」が、今年も開催決定となった。2018年から毎年実施され、企業所属VTuberも、個人運営VTuberも、業界関係者も、業界外の人も、一堂に会する一大イベントだ。トップランナーのみならず、個人で活動する個性豊かなVTuberも脚光を浴びる、「VTuber業界のいま」を映すイベントとして、その開催意義は極めて偉大だ。今年もこの日だけは眠れないことだろう。
そして、ヒップホップアーティストとしても活躍するピーナッツくんは、大きなステージへと足を踏み入れる。5月21日に開催されるヒップホップフェス「POP YOURS」への出演が決定したのだ。名だたるアーティストが出演するヒップホップの祭典に、ピーナッツのような姿のVTuberが出演するのは異例だが、すでに2つもアルバムを発表しているピーナッツくんは紛れもなくアーティストだ。「VTuber」という枠に囚われずに活躍し続けてきた、最初期の個人勢VTuberの晴れ舞台を心待ちにしたい。
今週は音楽の領域で大きな動きが見られた。一つはホロライブEnglishのMori Calliopeのメジャーデビューだろう。英語圏向けホロライブ第一世代としてデビューし、類まれなラップと歌唱力で脚光を浴びた“死神”は、ユニバーサル ミュージック EMI Recordsよりメジャーデビューを果たし、1st EP発売、さらにワンマンライブ開催まで決定している。まだその実力を知らない人は、まずはホロライブの星街すいせいとタッグを組んだ楽曲「CapSule」で体験してみるとよいだろう。
当連載でも3D化を取り上げたイラストレーター・しぐれういも、まさかのアーティスト展開を発表した。5月25日にオリジナル曲を含む12曲を収録した『まだ雨はやまない』を発売、5月28日にはリアルイベントも開催するとのことだ。イラストレーターでもあり、VTuberでもあり、アーティストでもある、そんなマルチタレントが現在進行系で生まれている。そんな新しい才能を生み出す土壌が、「バーチャル」というカルチャーには備わっている。
同じく当連載で昨年末に取り上げた「バーチャルシンデレラプロジェクト」にも進展があった。まず、グループ名が「NHOT BOT」に決定し、オーディションより選出されたメンバーである雨音るな、UzuMe、星羅ミントが発表された。そして、先行デビュー組である神楽めあ、花園セレナ、緋赤エリオの3名による1stシングル『明日君の手を握れたなら』がMVと合わせて発表された。1年間限定で活動する、ソニー・ミュージックエンタテインメントのバーチャルアイドルプロジェクトが、いよいよ本格的に始動したわけだ。
テック方面での大きなトピックとして、「Unreal Engine 5」の正式リリースが挙げられる。「Unreal Engine 5」は、リアルタイムレンダリングで大きな進化を遂げた新型ゲームエンジンであり、PlayStation 5でも臨場感のあるハイクオリティな映像を生み出せることで話題になった。特に、技術デモコンテンツ「The Matrix Awakens」の映画と見紛う映像に息を呑んだ人も多いだろう。そんな「The Matrix Awakens」で用いられた都市シーン制作サンプルも、正式リリースに合わせて配布されており、開発者たちは早速「現実のような街並み」を体験しているようだ。これがメタバースに持ち込まれた暁にはどうなるのだろうと、期待は尽きない。