オーディオライターに聞く、自分に合った「ポータブルスピーカー」の選び方とは?

オーディオライターに聞く「ポータブルスピーカー」の選び方

 音楽リスニングに欠かせないスピーカーだが、昨今はBluetoothで接続ができ、小型で持ち運べるタイプの「ポータブルスピーカー」が支持を得ている。AmazonなどのECサイトでも低価格のものから販売されており、手に入れやすい製品が多いが、そもそもポータブルスピーカーを選ぶメリットはどういったところにあるのだろうか。オーディオライターの折原一也氏は以下のように語る。

 「ポータブルスピーカーを選ぶメリットとして、まず挙げられるのはスマートフォンとの相性の良さです。いまはストリーミングサービスなどを利用して音楽を聴いている方が多く、スピーカーでも聴くとなるとスマホとの接続が必要ですよね。ただ、有線で接続するスピーカーとなると昨今ではイヤホンジャックを搭載していないスマホが増えてきているので、たとえばiPhoneユーザーであればLightning規格へ変換する必要も生じる。そうなってくるとBluetoothで接続できるワイヤレススピーカーが便利なんです」

 「そもそもスマホやPCのスピーカーから音楽を流せばいいのではないか?」という疑問に対しては「通話やテレビ会議などの音声であれば問題はないとは思いますが、やはり音楽リスニングとなると物足りなくなると思うんです。スマホやPCなどのスピーカーでは低音などの聞こえ辛い音域があり、また、音量も少しスピーカーから離れてしまうと小さくて迫力がなくなってしまいます。昨今発売されているワイヤレススピーカーは小型なものでもスマホやPCのスピーカーと比べて低音がしっかり聞こえてくるので、リスニング体験をより重視したい人はやはりスピーカーを別に購入すべきだと思います」とスマホやPC本体だけでの聞こえ方の限界についても教えてくれた。

 では、実際にどのようなものを選べばいいのか。折原氏は「ワイヤレススピーカーを選ぶ際、持ち運びが簡単な小型なものを選びたいという方も多いかもしれませんが、もちろん音質も重視しますよね。音質に関してはサイズが大きく関わってきて、いまは持ち運びも簡単な3000円程度のかなり小型なものが増えてきていますが、大まかにいうと、小さいものはやはり大きいものよりも音の厚みや低音の響きなどが劣ってしまうんです。なので選ぶ際には、許容できる範囲で、持ち運びでき、置き場所に困らないなるべく大きなものを選ぶといいでしょう」と話す。持ち運びやすさと音質を天秤にかけて比較することが重要のようだ。

 現在ポータブルスピーカーで人気のあるブランドは主にBOSE、JBLなど欧米のメーカーの製品が挙げられる。しかしこれらのメーカーの打ち出し方と日本人特有の支持のされ方には若干のズレがあるという。

 「国外(特に欧米)で発売されているポータブルスピーカーの多くはアウトドアシーンでの使用が想定されているため、ほとんどが防水使用になっています。ただ、昨今のコロナ禍もあり、日本で使用する人はほとんど屋内で使うことを想定していると思うんです。なので防水に関してはあまり必要はないかと思われるかもしれませんが、日本人はお風呂に長時間入りますよね。お風呂に持ち込んで使用したいという方が一定数いると思うんです。IPX7もあれば湯船のなかに落としてしまっても問題ないレベルなので、ポータブルスピーカーが人気になっている背景には防水性能も関わっているかもしれないですね。

 それに日本人は騒音トラブルなど少し音に関するマナーに厳しいですよね。そういった部分を重視するなら、或いは例えばマンションにお住まいの方は、大きな据え置きのスピーカーを選ぶよりも、低音が響きにくい小型のポータブルスピーカーの方が選びやすいでしょう。ポータブルスピーカーは小型ですがパッシブラジエーターにより低音はしっかり聞こえますし、かつ小さな音量にしても鳴っていることがわかるので、近隣の人に迷惑がかかることは比較的少なくなります」(折原氏)

Tribit XSound Go
Tribit XSound Go

 たしかに、国によって文化や生活環境が異なるため、ポータブルスピーカーの用途も様々であり、その国柄に合わせて作られたのであれば若干のズレもあるだろう。では、ポータブルスピーカーのもう1つの勢力である、中国系のメーカーはどうだろうか。今回、折原氏に『Tribit XSound Go』を試し、使用感をレビューしてもらった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる