Audibleが定額聴き放題制への移行を発表 今井翼、杏などがオリジナル作品の魅力を伝える
コロナ禍で在宅時間が増えたことにより、音声メディアやオーディオブック、ポッドキャストといった音声コンテンツの利用が増えている。
家で過ごす時間はもちろん、移動の合間や散歩、ドライブなど、場所やシーンを問わずにコンテンツを楽しめるのが魅力だと言えるだろう。
そんななか、Amazonはオーディオエンターテインメントサービスが「Audible(オーディブル)」を展開。いつでもどこでも楽しめる音声コンテンツを多数提供しており、プロのナレーター、俳優、声優らが朗読するオーディオブックやエンタメ、ニュース、お笑いなどバラエティに富んだポッドキャスト、オリジナル脚本のオーディオドラマといった作品がラインアップされている。
日本では2015年にサービスを開始し、声の力を最大限に解き放つ「Power Of Voice」をコンセプトに、約40万タイトルに及ぶオーディオエンターテインメントを届けてきた。
去る1月26日には「Amazonオーディブル 戦略発表会 2022」が行われ、Audibleが見据える日本市場の展望や新たなサービスのアップデートを発表した。
定額制聴き放題へと移行。「今年は挑戦の年にしたい」
まず冒頭には、アマゾンジャパン合同会社 Audible事業部 カントリーマネージャーの逢阪志麻氏が登壇し、Audibleの日本市場における成長を振り返った。
「これまで出版社やラジオ、クリエイターといったパートナーの方々とともに、日本のユーザーに求められるような音声コンテンツを提供してきた。ビジネスから文学作品、小説、ライトノベルなどジャンルに縛られず、音声の持つ可能性を広げてきたことで、オーディオエンターテインメントの先駆者として市場を牽引してきている。また、昨年からは書籍化よりも先に音声コンテンツとして配信する“オーディオファースト”作品も出版大手の新潮社と手がけ、新たな試みも取り組んでいる」
こうした取り組みや、コロナ禍によるライフスタイルの多様化も相まって、Audibleの会員数は2018年にコイン制を導入した時期と比較し、昨年12月時点で約4.5倍に伸長しているという。
さらに今後も多くのユーザーへ、より多くのコンテンツを届けるべく、1月27日より日本向けの会員プランを定額「聴き放題」制へと移行し、総合的な音声コンテンツ配信サービスを目指していくそうだ。
「これまではポッドキャストのみが聴き放題の対象だったが、今回の定額制聴き放題へと移行することで、12万以上のオーディオブックやポッドキャストを、場所や時間、回数などを気にせずに好きなだけ楽しめるようになった。月会費の1,500円はそのままに、多様なジャンルから自分に合った音声コンテンツを選べるようになり、さらにはストリーミングによる再生も可能になったことで、さらにAudibleを利用するユーザーが増えるのではと期待している」
また、定額制聴き放題にすることで、Audibleの会員のみならず出版社やクリエイターにとっても作品を届ける機会が増える循環が生まれるという。
「Audibleは書籍に触れる機会を提供するだけでなく、これまで読んでこなかったジャンルにも興味を持つきっかけづくりにもなっている。これからも聴き放題コンテンツの拡充を図ることで、出版社やクリエイターへのチャンスも広がり、多様な作品に触れられるユーザーの満足度も向上し、そしてAudibleの利用時間も増える。このような好循環が生まれるように尽力していきたい。
また、オーディオファーストの作品も引き続き拡充をしていく予定。新潮社に加え、河出書房新社、幻冬舎、講談社、実業之日本社を含む多くの出版社とプロジェクトを始動し、新たな音声での表現にこだわった作品を制作していく。オーディオブックも、ポッドキャストも、Audibleオリジナルも楽しめる唯一無二のサービスを目指し、今年は挑戦の年にしたいと思う」
続いては、Audible事業部 シニアコンテンツリーダーの宮川もとみ氏が登壇。
同氏は「Audibleの定額聴き放題制への移行に伴い、主に3つのコンテンツ政策を強化する。Audibleオリジナルの『オーディオエンターテインメント』、独占配信の『ポッドキャスト』、そして『オーディオブック』。これらを柱にもっと自由に、新しく、広がるを意識しながらクリエイター陣とともにコンテンツ制作に励んでいきたい」と述べた。
豪華キャストが出演する日本初上陸の『サンドマン』
Audibleオリジナルの音声作品として目玉になるのが、 アメリカン・コミック大手のDCコミックスから刊行された『サンドマン』(ニール・ゲイマン原作)だ。
世界的な大ヒットを飛ばしている同作品を、日本語音声版Audibleのオーディオエンターテインメントとして提供するという。
戦略発表会には、『サンドマン』に出演するキャストも駆けつけた。
ナレーターを務める今井翼は『サンドマン』への出演オファーがあったことに対し、次のように感想を語った。
「とても重厚感のある『サンドマン』が日本に初上陸する記念すべきタイミングに、自分がナレーターに抜擢されたことは、非常に光栄だと感じている。普段、あまり音声コンテンツには触れてこなかったが、読書とはまた違う音だけで聴くコンテンツは真新しく思い、日常生活のなかでも楽しめると思っている」
また、デス役の南沙良は「初めて挑戦するジャンルで緊張や不安もあったが、オファーをいただいたときには光栄な気持ちだった」と語り、主人公のサンドマン役を演じる森川智之は「なにはともあれ、声優冥利につきると思っている。私はラジオドラマからスタートしたので、時代を経て最新テクノロジーを使ったオーディオドラマの制作の一端を担えるのは非常に嬉しかった」と語った。
また、音声コンテンツの収録については、キャスト自身もいろいろと苦労している部分もあるようだ。
今井は「普段の映像作品の収録とは違う、日常とかけ離れた世界観や臨場感を大切にしているが、原作の世界観を忠実に表現したいと考える挙句、予定の収録時間よりも長くかかってしまい、スタッフの方にも迷惑をかけることもあった。それでも、やるからには良い作品に仕上げたいので、試行錯誤しながら取り組んでいる」と話した。
南は「普段は声と表情で演技を行うが、今回の収録は声だけでお芝居するという初めての体験なので新鮮である一方、本国版の声優さんの尺に合わせなければいけないのが苦労している」と述べた。
それに呼応するように、森川は「普段は日本語への吹き替えやアニメーションを見ながら収録を行うが、オーディブルは新しい収録の仕方で新鮮に感じている。特に収録現場にある波形に合わせながら、決まった尺のなかで収録する必要があることや、音声としての演技を考えながら進めることなど大変に感じる部分もある。それでも、やりがいを持って取り組めていると思う」とコメントした。
トークセッションの最後には『サンドマン』を心待ちにするユーザーに向けて、それぞれメッセージを寄せた。
「自分だけの時間で作品の情景やキャラクターなど、その世界にどっぷりと浸れるのが魅力。ぜひ、読書とは違う世界観を味わってほしい」(今井)
「ダークでディープな側面がありつつも、コメディを思わせるシーンや考えさせられる場面もあり、いろいろな角度から楽しめる作品だと思うので、ぜひ聴いてみてほしい」(南)
「今年春の配信に向け、まだまだ『サンドマン』の収録は続くが、豪華キャスト陣で取り組んでいるからこそ、絶対に楽しめる作品に仕上がると思う。全20エピソード、たっぷりと堪能してほしい」(森川)