倍速視聴ではドラマは楽しめない? 変化する動画コンテンツの問題点を専門家に聞いた

倍速視聴ではドラマは楽しめない?

短い動画の見過ぎは考える力が低下する?

――次にTikTokのような短い動画が流行っている背景をお聞かせください。

松田:一言で言うと四コマ漫画のようなものと考えるとわかりやすいかと思います。起承転結がハッキリしており、早くオチを見れる。最近の若い人は勉強やアルバイトだけでなく、SNSで四六時中他者と繋がっているため時間がない。隙間時間にサクッと見ることができため、好まれているのではないでしょうか。

――短い動画を見るデメリットはありますか?

松田:人間はわからないこと・知らないことに対して、推論しながら対処します。つまりは物事が複雑であればあるほど頭を使う必要があるため、論理的思考を高めることが可能です。ですので、単純かつ分かりやすく四コマ漫画のような動画だけを見続けてしまうのは、“考える力”の低下につながらないかと危惧しています。

テクノロジーの進歩は悪影響ではない?

――それぞれのSNSの使い方によっては、コミュニケーション能力だけでなく考える力も失われる、と言えるのでしょうか?

松田: 倍速視聴に関して言いますと、登場人物から発せられる非言語情報にアンテナを張りながら、映画やドラマをしっかり視聴していた人の数は、実際のところ昔と比べてあまり変化はないのかもしれません。同じように、四コマ漫画のような分かりやすいコンテンツを好んでいた人も昔から一定数いて「短い動画のせいで論理的思考しない人を量産した」というよりは、「分かりやすいコンテンツを好む層が短い動画を楽しんでいる」だけだ、という可能性があります。

――倍速視聴も短い動画も過剰に問題視する必要はないのかもしれませんね。

松田:私は「1日〇〇時間以上見るのは危険」というような明確な制限が必要なラインはないと考えています。ただ、仕事や勉強など、やらなければいけないことがあるにもかかわらず、「動画を見たい」「スマホを触りたい」となるのは依存の傾向があり、危険です。結局、日常の生活が送れないほど熱中することが問題なので、自分の生活を大切にしながら好きなように動画コンテンツを楽しめば良いのではないでしょうか。

(画像=Unsplashより)

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