ファスト映画とゲーム実況は本当に似ているのか? それぞれの共通点と差、歴史について考える

ファスト映画とゲーム実況は似ている?

 1本の映画を10分程度にまとめた「ファスト映画」。ここ1年で急激に投稿本数が増加し、最近では投稿者が逮捕されるなど話題を集めている。

 さて、ファスト映画の話題が注目される中で、構造の類似が指摘されているのがゲーム実況の世界だ。視聴者は、ファスト映画では投稿者が要約したあらすじを、ゲーム実況では実況者が実際にプレイした映像を鑑賞する。どちらも作品を他人の価値観に委ねて解釈するという意味での共通点はたしかに存在する。

 しかしゲーム実況の世界に目を向けると、ゲームタイトルごとガイドラインが敷かれるなど、実況者とパブリッシャーが手を取り合う二次創作的コンテンツになっているという意味で違いもある。

 盛況を見せるゲーム実況動画であるが、現在のように豊かなコンテンツが投稿されるまではどのような歴史的経緯があったのか。

ゲーム実況が普及するまでの許諾の歴史

 国内におけるゲーム実況という動画投稿スタイルは2007年頃、ニコニコ動画で定着を見せた。

 もちろん当時からも著作権法に触れるものとしてアンダーグラウンドあるいはグレーゾーンな楽しみ方とされていたゲーム実況。風向きが変わったのは、2011年である。ニコニコ動画で許諾を受けた形でゲーム実況などを投稿できるクリエイター奨励プログラムがスタート。同年には海外でも、YouTubeが一般ユーザーへパートナープログラムを開放、ゲーム実況を主軸にした配信プラットフォーム・Twitchがサービスを開始するなど、今につながる多くの動きを見せた。

 こうした動画投稿プラットフォームの動きにゲーム会社も対応。例えば任天堂は、2014年にクリエイター奨励プログラムに250以上のタイトルを登録。2018年には自社でガイドラインを制定し、個人による実況動画の投稿と収益化を実質的に認めた形だ。

 ファスト動画が急増したとされるここ1年を見ても、ゲーム開発・運営会社がUUUMやホロライブといった大手事務所と著作物利用についての包括契約を結ぶ動きが目立つ。

 2020年6月には任天堂が4社と、7月にはセガがUUUMと契約。コロナ禍で急増した需要に対して積極的に対応を取った形だ。今年に入ってもドラクエシリーズやカプコン社が個人の動画投稿の収益化を認めるようガイドラインを改定するなどこの動きは続いている。現在、数十万再生、数万人の同時視聴者を集めるほどの人気を集めるゲーム実況者たちの活動が成立した背景には、このような著作権者たちの歩み寄りの歴史がある。

 もっとも、動画投稿を禁止するゲームタイトルもこれまでには存在してきた。2020年にはCygamesが配信プラットフォーム・Mildomでの自社コンテンツを使った投稿・配信を禁止する声明を発表し大きな話題となった。一部の事務所に許諾が出たことを指して、許諾の取れていない事務所に所属するゲーム実況者の活動が批判にさらされることもあった。業界全体が一枚岩でないことは頭に入れて置かなければいけない。



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