ももクロ×テクノロジーはどんなライブを生み出す? 配信だからこその楽しみ方を語る

ももクロが語る配信ライブだからこその楽しみ

 ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)が12月31日に東京・日本武道館にて年越しカウントダウンイベント『第5回 ももいろ歌合戦』を開催する。有観客でのライブ興行のほか、ABEMAでは全編を8時間にわたって生配信。さらにBS日テレやニッポン放送などでもオンエアされる、年の瀬の一大イベントだ。

 『ももいろ歌合戦』は2017年に初回が行われて以来恒例化している催しで、ももクロの4人が豪華出演アーティストらとともに紅組と白組に分かれ、フルサイズ楽曲の歌唱を競い合う。5年目となる今回は「届け!希望の彼方へ」をテーマに掲げ、東京03が総合司会を、舘ひろしが応援団長を務める。

 そんな『ももいろ歌合戦』を始めとするライブ活動全般において、今や配信テクノロジーはアーティスト活動に欠かせないものとなっている。ももクロのメンバー4人が今そこに何を感じているのか、率直に語ってもらった。(ナカニシキュウ)

「何もしない」という選択肢はなかった

──ももクロの皆さんにとって、2021年はどんな年でしたか?

高城れに(以下、高城):少し希望が見えてきた1年だったんじゃないかなと思います。去年は、今まで当たり前だと思っていたライブなどのお仕事ができなくなって、1年間ずっと「どうしよう、どうしよう」と試行錯誤しながら活動してきたんですけど、今年になってようやく有観客でのライブなども少しずつできるようになって。

百田夏菜子
百田夏菜子

百田夏菜子(以下、百田):いろいろ状況が変わっていく中で、「そこで何ができるのか」というのも日々変わっていくので、それに対してみんなで考えながら柔軟に対応できていたかなと思いますね。“できないこと”がたくさんあったからこそ、逆に“できること”がすごく見えやすかったりもして。

──ももクロはコロナ以前から、なんならデビュー当時からずっとそうやって活動してきましたよね。「これはこういうものだ」と決めつけず、まず常識を疑うところから入るみたいな。その経験値がここに来てより生きているようにみえます。

玉井詩織
玉井詩織

玉井詩織(以下、玉井):そうですね。私たちは常に「できないことじゃなく、できることを考えろ」と言われてきたので。だからこそ無観客のライブでは配信でしかできない演出を作れたんだと思うし、常に「これがダメだったらダメで、次のことを考えよう」というふうに考えられたんだと思います。「ライブができないならできないで、テレビ出演などほかの活動で皆さんに届けられるものがあるんじゃないか」とか、いろいろ考えながら動けた1年でしたね。

佐々木彩夏(以下、佐々木):コロナ禍に入ってからのこの2年間は、「何ができるかな」「みんなは何を望んでいるのかな」ということを一番に考えていて。あれもできない、これもできないという状況だったけど、そこで「何もしない」という選択肢は私たちにはなかった。「何もできないときに何をするか」という方向を常に向いていられるのは私たちの強みだと思うし、私たちが新たな挑戦をしたときは、必ずモノノフ(ももクロファンの呼称)さんも一緒に面白がってくれるんです。

──なるほど。メンバーやチームだけじゃなく、ファンの皆さんも含めてみんなが同じ絵を描けているという。

佐々木:モノノフさんも一緒になって「負けないぞ!」と思ってくれているのを感じました。ちょっとバカバカしいことをやっても必ず面白がってくれるし、ライブに参加するときは事前に問診票を書かなきゃいけなかったりとか、そういうわずらわしさも受け入れてくれる。いつも一緒に戦ってくれるモノノフさんがいるというのも、私たちの強みであり武器だなと改めて実感しましたね。

──先ほど配信ライブのお話も出ましたが、今はそうしたテクノロジーを駆使した見せ方が欠かせなくなってきていますよね。昨年11月に行われた視聴者参加型配信ライブ『PLAY!』などはまさにその典型ですけども。

百田:『PLAY!』では、XRという技術が使われていたらしいです。XRって何? VRのこと?

玉井:ARとかの超すごい版ってことなんじゃない?

──XRは簡単に言うと仮想現実系テクノロジーの総称で、VRやARはその中のひとつという位置付けですね。

玉井:『PLAY!』はそういう最先端の技術を使った配信ライブだったんですけど、ほどよくアナログ感もあって。そのギャップがよかったのかなと思っています。

“画面を観て楽しむだけ”ではない体験を

──今後もっとテクノロジーは進化していくと思いますが、「こんな技術が可能になったらいいな」というような夢は何かありますか?

百田:配信ライブって、結局は画面を観て楽しむだけのものじゃないですか。もっと本当に飛び出て見えるような、もっと近くに感じてもらえる技術が生まれないかな。いつもそれくらいの気持ちで「届けー!」と思いながらやってはいるんですけど。

──それはつまりVRですかね?  VRでのライブ映像配信は皆さんもすでにやられていますし、ヘッドセットなどの設備が各家庭に普及すれば今後もっと一般化していく可能性は十分あると思います。

百田:たしかに。世の中の変化に合わせて、どんどん面白いことができていったらいいなと思いますね。

玉井:ただ、VRだったら結局映像を観て楽しむことになっちゃうじゃない? 私たちはやっぱりライブをずっと大切にしてきたグループなので、ライブ会場に来てもらって体験できることを増やしていきたいですね。たとえば目に見えるCGみたいなものとか……。

百田:私たちがいっぱいいるみたいな?

玉井:そう、それがゴーグルをかけた人だけに見えるとか。わかんないけど。

──それはMRと呼ばれる技術でトライされている分野ですね。設備によってはゴーグルなしでも実現できるようですし、今後の発展は期待できるんじゃないでしょうか。

高城れに
高城れに

高城:私は、映像だけじゃなくて匂いをリモートで届けられるようになったらいいな。たとえば、私たちが水を画面越しでバーッとやったらフローラルの香りがするとか、そういう遊びもできそうだから。

──なるほど。特殊効果の火薬の匂いなんかも伝えられたら臨場感が増しそうですね。

高城:そうそう。それができたらライブ映像がもっと魅力的なものになるんじゃないかな。ライブ以外でも、たとえば旅番組でおいしいものの匂いを届けられれば、観ている人と一緒に味わっている感覚にもなれるだろうし。

佐々木:私は……これはテクノロジーとかの話ではなくなっちゃうんですけど、やっぱりライブでモノノフさんたちの声を聞きたくて。今はまだ有観客ライブができてもコールや声援は禁止だったりするじゃないですか。どういう形があり得るのかはわからないですけど、たとえば1人ずつブースみたいなところに入ってもらう形とか、それでみんなが声を出せるライブを実現できたらいいなと思いますね。

──現状の配信ライブでも、リアルタイムでファンがコメントを書き込めたりしますけども、それをもっとフィジカルなコミュニケーションにしたいということですよね。

佐々木彩夏
佐々木彩夏

佐々木:そうです。ただ配信ライブのコメントも、それはそれでいいところもあって。たとえば「この曲のこの表情がよかった」とか、そういう細かい感想はなかなかライブ会場では聞けないし、自宅で冷静に書き込めるからこそ言ってもらえる感想は私たちにとっても勉強になったりするんです。会場ならではの熱狂的な反応と、そういう細かい感想の両方がリアルタイムで届くようになったら面白いなと思います。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる