すべては視聴者のために にじさんじ・加賀美ハヤトの「娯楽」として生きる覚悟
2019年10月31日に配信された「精一杯バイノーラルマイクと向き合う配信」。この配信は、自身が購入したバイノーラルマイクを使っての音声チェック配信だったのだが、かなり早々に音声をチェックを終えてしまった。せっかく集まった視聴者のためにと、彼がおもむろに手にしたのはTCG「デュエル・マスターズ」の自前デッキ。流れを順を追って解説し始めると、加賀美のなかにある少年性やオタクらしさが一気に爆発していく。
ASMRマイクの近くでベイブレードをイチから組み上げて回し始めたり、『デュエル・マスターズ』『遊戯王OCG デュエルモンスターズ』『マジック:ザ・ギャザリング』のテキストを優しく読み上げてクイズを出すなど、自身の手元にある玩具やゲームを使って40分以上に渡りASMR配信を放送したのだ。
【にじさんじ】精一杯バイノーラルマイクと向き合う配信【加賀美ハヤト】
公式サイトから引用すると、「玩具会社、「加賀美インダストリアル」の若き社長。自社玩具のPRのため、自らライバーとしてデビューすることを決めた」という肩書きのとおり、愛称は「社長」として多くの同僚に呼ばれ、ベイブレード・テーブルカードゲーム・プラモデルを愛し、好きな商品や「あまりにもマニア向けなもの」を見つけると購入して自宅に揃えていくというオタクな部分も持ち合わせている。
ロボット・昆虫・恐竜などのプラモデル制作配信や玩具レビュー配信をすることもあり、雑談&作業配信としてリスナーに好まれている。ガンダム好きでもある彼はデビュー2周年記念として自身原案のオリジナルガンプラの制作を模型製作者にお願いし、完成したガンプラを見て「活動以来一番の自己満足、15年以上もっていた夢を叶えさせてもらった」と感激した。
年齢や趣味が近い社築・花畑チャイカとは、大量に購入したカードを開封しながらの雑談配信や、3Dモデルとなり3人で『Nintendo Labo Toy-Con 02: Robot Kit(ロボット キット)』を使ってゲームをしたり、同じく3Dモデルとなってボトルマンなどをプレイしてみるなどの配信もしている。
2021年の年明けにはマジック:ザ・ギャザリング専門店である晴れる屋に協力を仰ぎ、「100万円福袋」を制作し、加賀美・社が100万円を支払ったうえで福袋の中身を見ていくという福袋配信を放送。5月には晴れる屋スタッフが加わり、加賀美・社・花畑で総額180万円分のオリジナルパックを購入して開封する姿を生配信した。一喜一憂する3人の姿が楽しめる。
いわゆるアラサー男性である大人の彼らが童心に戻って本気で遊んでいく、彼はこういった方向性にも自ら進んでいくタイプの人間である。にじさんじ公式番組『にじさんじのB級バラエティ(仮) 』にも放送当初から「スケジュールを空けてでも出演したい」と熱望し、その後実際に出演するなど、彼の「エンターテイナー」ぶりがわかるだろう。
【MTG #MTG福袋開封の儀】100万円福袋!!開封の儀!!【にじさんじ/社築/加賀美ハヤト】
これまでのゲーム配信では『ポケットモンスター』『ダークソウル』『龍が如く』といった人気シリーズ作品に『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』『デュエル・マスターズ プレイス(デュエプレ)』『Besiege』『eBASEBALLパワフルプロ野球2020』などをプレイしてきているが、ここまで書いてきたことを鑑みてみればわかるように、少年心や男心くすぐるようなゲームにハマっているのが見て取れる。
丁寧にプレイすることを心がけつつも、途中から効率性やバランスといった部分を度外視し、脳筋プレイ&エンタメ性に極振りなプレイをするところもチラホラと見受けられ、視聴者を楽しませようとする心意気を感じられる。
普段の加賀美ハヤトといえば、リスナーやにじさんじの同僚などどんな相手にも敬語を崩さないニュートラルな口調や態度で、会話などでも中心になって回すこともあれば、冷静に場を見れる性格もあり司会になることもしばしばあるなど、外見にピッタリ似合うクールな男性として常に振る舞っている。
だが、行き過ぎたボケや突然のアクシデントに出くわすと声を荒げてツッコミを入れたり、アニメ・マンガネタのトークを始めてしまったりと、その時々によってオタクな素顔・少年っぽさが出てくる。リスナーから遊戯王にまつわる相談を受けていると、どんどんとお笑い芸人のミルクボーイらしき掛け合いになっていくなど、彼のお笑い好きな部分もみえてくる。
キャラを守れそうで守れない……ようにもみえるが、こういった無邪気さやおふざけもしっかりと乗っかって楽しもうとすることも含めて「加賀美ハヤト」なのだ。