塩をまぶした牛肉を1カ月間保管するとおいしいのか? 海外YouTubeチャンネルが実験

 肉専門の海外YouTubeチャンネル「Guga Foods」で、1つおもしろい動画がある。それは「Dry Brine EXPERIMENT, Only SALT! 24 hrs to 1 MONTH!」という動画だ。公開日は2020年4月22日で、再生回数は約275万回にものぼる。

Dry Brine EXPERIMENT, Only SALT! 24 hrs to 1 MONTH!

 動画ではドライブライニング(Dry Brining)というやり方で、冷蔵庫に牛肉を長期保管する実験を行う。ドライブライニングとは、水を使うことなく塩やコショウなどを肉にまぶして冷蔵庫に保管することで、味を引き出す調理法のこと。ドライブライニングでは通常、45分から48時間の間で冷蔵庫に肉を寝かせる。しかし今回は、1カ月間牛肉を冷蔵庫に保管すると味はどうなるのか、というのが動画の趣旨になっている。

 実験で使用する肉の部位は「リブアイ」。アメリカを含む世界でもっとも人気のステーキ部位の1つで、牛1頭からわずかしか取れない、リブロースの中の最上級部位だ。動画ではこの贅沢な部位を使用して実験を行う。

 動画では塩のみを使う。まずは肉全体に塩をまぶしていく。そして少し置くと、塩が肉から水分を引き出し、肉の表面から水が出てくる。するとその水分が塩を溶かし、塩水となって肉に戻っていく。こうして肉全体に塩が浸透することで、タンパク質が分解され、牛肉が柔らかくなる。また肉内部に水分が閉じ込められることで、ジューシーでやわらかいステーキに仕上がるのだという。

 実験に用意するのは、冷蔵庫での保管期間が「1日間」「3日間」「1週間」「1カ月間」の4種類の牛肉。庫内温度1℃の冷蔵庫で、これらの牛肉を保管する。

保管期間は左から「1日間」「3日間」「1週間」「1カ月間」

 保管開始の期間を調整することで、同じ日に冷蔵庫から4種類の牛肉を取り出す。24時間保管した牛肉は鮮やかな赤色で、塩が肉の内部にしっかり浸透していることがわかった。ただし塩は脂まで浸透していない。一方で3日間保管した牛肉は、脂まで塩が浸透していた。

1カ月間保管した牛肉

 保管期間が長いほど、牛肉は黒色に変色し、また固くなる。特に1カ月保管した牛肉はかなり黒く変色し、また肉が縮んで岩のように固い。本当に食べて大丈夫なのか心配になるほどだ。

 4種類の肉をBBQコンロで焼き上げ、それぞれ一口サイズに切り分ける。動画では2人で実食している。まずは1日冷蔵庫で保管した牛肉を食べる。肉はやわらかくジューシーで「コショウやガーリックがなく、そのまま食べてもおいしい」と絶賛であった。

 続いて3日間保管した牛肉を頬張る。「最初(保管期間1日)の牛肉のほうがおいしい」と、正直にコメントしていた。味は悪くはないが、肉に新鮮さを感じられず「本当にお腹が減っていれば食べるが、そうでなければわざわざこの肉を食べたいとは思わない」と辛口な評価であった。

 次は1週間保管した肉を実食する。食べたあとは、あからさまに美味しくなさそうな顔をしていた。噛むのもしんどく、味は落ちていて臭いも少し違うらしい。「古いハムのような味がする」と独特な表現をしていた。

 この流れなら、1カ月保管した肉の結果は明らかだろう。肉を口にした瞬間に、2人ともその場から退場していった。「もはや肉ではない。決して家では試さないでほしい」「犬のおやつのような味がする」と、強烈な体験をした2人から説得力のある警告があった。

 結果、ドライブライニングで牛肉を食べるなら保管期間は24時間がもっともよく、3日を過ぎると味は落ちることがわかった。なおこの投稿者は肉専門のYouTubeチャンネルなので、素人が試す場合は十分に注意してほしい。

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