エンタメを支えるメーカーの裏側(第三回)
AnkerグループのオーディオブランドSoundcore、躍進の背景とは

Soundcoreの豊富なラインナップは「多様化するニーズ」に合わせるため
折原:Soundcoreは完全ワイヤレスイヤホンだけを見てもラインナップが多いと思います。機種ごとにターゲットとするユーザーはすみわけられているのでしょうか。
伊藤:Soundcoreの完全ワイヤレスイヤホンでは大きく分けると、LibertyシリーズとLifeシリーズがあります。Libertyシリーズが特に音質にこだわる方に向けたモデルで、Lifeシリーズはカジュアルなモデルと認識していただければわかりやすいかもしれません。LibertyシリーズはAnker独自のA.C.A.A(同軸音響構造)を搭載している製品もありますし、「Liberty Air 2 Pro」は10層のナノレイヤーによる独自のPureNoteドライバーを使っています。Libertyシリーズはより音に対してこだわりを持って開発しているのです。

音に関して言うと、好きな音楽ジャンルによって聞きたい音域が違うと思うので、Soundcoreアプリを使ってイコライザーを変更したり、自分好みにバランスをカスタマイズしたりと好みに合わせたイコライジングが可能なモデルを数多く用意しています。パーソナライズという考え方を重視しており、私たちが音を作り込むというよりも、調整できる余白を残してお客様に自分好みの音で楽しんでいただきたいと考えています。
折原:ゲーミングモードは「Soundcore Life P3」から搭載した機能ですね。導入の経緯を教えてください。
檜山:ゲーミングモードは音と映像のズレを極力なくし、ゲームの効果音や足音、アクション音などを強調して、より臨場感のあるゲーム体験ができるという機能です。ただ、「Sundcore Life P3」はゲームに特化したイヤホンではなくて、ゲームや音楽、通話などさまざまなシーンで使用いただきたいというコンセプトのもとで企画・開発され、あくまでも機能の一つとしてゲーミングモードを追加しています。

「Soundcore Life P3」は過去にベストセラーとなった「Soundcore Life P2」のアップグレードモデルなのですが、お客様からいただいた意見をもとに音質を改善し、手に取りやすい価格帯ながらノイズキャンセリング機能も搭載しました。日常のあらゆるシーンでカジュアルに使っていただけるイヤホンとして開発したのですが、ゲームプレイ時にイヤホンを使用する方も多く、そういった方に向けて、より臨場感をもって楽しめる機能としてゲーミングモードを追加したのです。
折原:完全ワイヤレスイヤホンの市場の今後について、どのようにお考えですか。
檜山:過去の完全ワイヤレスイヤホン製品は、接続や音質が悪く、基礎的な性能が非常に乏しい時代がありました。そういった面では我々がここ数年で販売している製品は、音質や接続性を始め操作性や価格もご満足いただけるものを提供できていると自信を持っていますが、ユーザーによって使い方や感じ方、ニーズは多種多様になってきています。オーディオの世界はパーソナライズを追求しても終わりが見えないので、すべてのお客様に「この製品が一番」と言っていただける製品はないと考えています。例えばテレワークのような、今まで使われていないところでも完全ワイヤレスイヤホンが使われるようになってきたので、ニーズの多様化に合わせて完全ワイヤレスイヤホンのカテゴリーも多様化が進んでいくと思っています。
伊藤:オーディオに関する要素とガジェット的な要素が交わっているのが完全ワイヤレスイヤホンととらえています。昔は価格帯が高ければ音質が良いだろうという考え方があったと思いますが、その視点だけに囚われていてはいい製品をお客様に届けられないと感じます。完全ワイヤレスイヤホンに求められるものが扱いやすさなのか、機能面なのか。どのようなニーズがあるのかを細かく見ていきながら、最適なものを世に送り出していけるといいなと思っています。
























