AnkerグループのオーディオブランドSoundcore、躍進の背景とは

AnkerのSoundcore、躍進の背景

 音楽、映像などのエンタメコンテンツを楽しむ際にかかせないオーディオ製品。イヤホンやスピーカーなど、数ある製品にはどのような企画立ち上げの思いや開発者らの努力が詰まっているのだろうか。連載「エンタメを支えるメーカーの裏側」では、オーディオライター・折原一也がメーカーの裏側に迫り、開発ストーリーを紐解いていく。

 Ankerグループといえば、モバイルバッテリーや充電器でおなじみの中国発のメーカーだが、最近は同社がオーディオブランドとして打ち出しているSoundcoreの評価も高い。完全ワイヤレスイヤホンやBluetoothスピーカーなどで充実のラインナップを誇り、欧米や国内ブランドが強かった日本で、「価格を超えた音を聞かせる」と音楽ファンの心をつかんでいる。高性能ながら手が届きやすい価格を実現した開発秘話や製品へのこだわり、音楽や映像体験との相性について、日本側で企画・開発に携わるアンカー・ジャパンの担当者に話を聞いた。

<インタビューイー>
アンカー・ジャパン株式会社 事業戦略本部 ビジネス・アナリティクス統括 檜山達矢
アンカー・ジャパン株式会社 マーケティング本部 Soundcoreブランドマネージャー 伊藤敬介

Ankerから独立してSoundcoreを立ち上げる

折原:Ankerはなぜオーディオ製品に取り組み始めたのでしょうか?

伊藤敬介(以下、伊藤):Soundcoreは2018年4月にチャージング関連製品を扱うAnkerから独立したオーディオブランドです。Ankerとして培ってきた充電関連の技術やパソコンの周辺機器を開発してきた技術はイヤホンやスピーカーに活かされていますが、ガジェットとして製品を求める顧客とオーディオ製品を求める顧客のニーズは違います。Soundcoreはオーディオファンの方に満足していただけるような最先端の技術を追い求め、同時に我々の強みでもある「手の届きやすい価格」で製品を提供するブランドです。

折原:開発拠点や開発体制について教えてください。

檜山達矢(以下、檜山):Ankerグループ全体ではグローバルで研究開発関連の人材が1,000人以上在籍しており、主に中国の深センに開発拠点を置いています。我々は日々、日本のお客様から寄せられる声や消費者ニーズを品質担当、開発担当に伝えて改善の提言をしております。

折原:Soundcoreで販売されている製品は世界各国で共通の製品ですか。それとも日本で販売されているものは日本仕様でしょうか。

伊藤:基本的にはグローバルで共通の製品を販売しております。ただし、ニーズは国や地域により異なるので、日本側で販売するかしないかを選定しているものもあります。

折原:日本ではどのような製品を選んで販売しているのでしょうか。市場の特性として日本をどう見ているのでしょう。

アンカー・ジャパン株式会社 マーケティング本部 Soundcoreブランドマネージャー 伊藤敬介氏

伊藤:オーディオは各国でそれほど大きくニーズが異なりませんが、日本独自で求められる要素もありますので、お客様の多様なニーズに合わせ、同じ価格帯でもいろいろな特徴のある製品をラインナップしています。とくにAmazonのレビューを重視していて、お客様からの製品に対するニーズや改善提案は製品の開発や導入の意思決定をサポートする大きな要素の一つです。

新製品「Soundcore Liberty 3 Pro」がLDACに対応し、高音質化を目指した理由

折原:完全ワイヤレスイヤホンの新製品「Soundcore Liberty 3 Pro」が発表になりました。最上位機種としての特徴を教えてください。

アンカー・ジャパン株式会社 事業戦略本部 ビジネス・アナリティクス統括 檜山達矢氏

伊藤:Soundcore史上最高の音質と、進化したAnker独自技術のウルトラノイズキャンセリング機能が大きなポイントになります。

 音質面の特徴は2つあります。ひとつはコーデックですね。ソニーが開発したワイヤレスオーディオ用コーデックLDACに対応しており、ハイレゾ音源の再生が楽しめます。お客様のお声から、ワイヤレスイヤホンにおけるLDACの対応に、早い段階から着手していたことで今のタイミングで製品化することができました。もうひとつはA.C.A.A 2.0(同軸音響構造)という独自の音響構造です。もともと我々の完全ワイヤレスイヤホンは低音に強みがあったのですが、本製品はそれに加えて中高音域のクリアさが際立っています。低音と高音それぞれに強いドライバーを搭載したデュアルドライバー構造なので、すべての音域が高い音質で再生できます。従来のSoundcoreの完全ワイヤレスイヤホンでは体験できなかった音質を楽しめるのではないかなと思っています。

「Soundcore Liberty 3 Pro」

 ノイズキャンセリングは、Anker独自技術のウルトラノイズキャンセリング 2.0を搭載しています。ノイズは屋内や屋外、交通機関などによって周波数や大きさが異なります。これをイヤホンが自動で検知してノイズキャンセリングの強さを調整し、適切な強度で利用できるようになっています。

折原:LDACの採用に至ったのは何がきっかけだったのでしょうか。

伊藤:ブランドとして、音響機器に真摯に向き合っていきたいということが一番の理由です。弊社では日本国内でもお客様と1対1でインタビューをする機会を定期的に設けてじっくりとニーズをお聞きして、本社の開発担当部署へとフィードバックをしています。インタビューを通してわかったことは、音質を求めているお客様はヘッドホンや有線タイプを使い、完全ワイヤレスイヤホンの音質については少し諦めている部分があるということです。ただ、本当は完全ワイヤレスイヤホンでもヘッドホンや有線イヤホンと同様に、良い音質で聞きたいというインサイトがあるということがわかり、「お客様の声を聞いて製品開発に生かす」という会社のフィロソフィーを実現する良い機会と考え、採用しました。

折原:ウルトラノイズキャンセリングは技術的にどのような工夫をしているのでしょうか。

檜山:最大の特徴は、周囲の環境とユーザーの聴覚特性に合わせてノイズキャンセリングの効き方を最適にできることです。ノイズキャンセリングを強くするだけでは音質が犠牲になるし、人によっては圧迫感を感じることがあります。ノイズの大きい場所ではしっかり効いて、小さいところでは不快感がない程度に自動で調整しています。

 前モデルの「Soundcore Liberty 2 Pro」にも搭載しているHearID機能は、専用アプリを通じてユーザーの音楽の聞こえ方をテスト・分析することで、聞き取りやすい周波数帯などを把握してユーザーに合ったイコライザー設定を可能にするものです。新製品の「Soundcore Liberty 3 Pro」ではこのHearIDの機能をノイズキャンセリングにも応用し、ユーザーに合ったノイズキャンセリング効果を自動で調整できる機能を搭載しました。同じノイズでも人によって聞こえ方に差があるので、それを判別して最適な強度に調整するためです。これにより、不快感なく長時間つけていられるようなノイズキャンセリング機能に仕上がっています。音の聞こえ方同様、ノイズキャンセリングに関してもパーソナライズできる機能を付けたということです。

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