『宇宙兄弟』のAIロボに激似? Amazon家庭用ロボット・Astroと比較してみえたロボットの進化

『宇宙兄弟』と比較するロボットの進化

 米Amazonは米国時間9月28日に開催したイベントにて、家庭用ロボット「Astro」を発表した。ディスプレイに表情も表示できるコミカルなこのロボットは、人気コミック『宇宙兄弟』に登場したAI(人工知能)ロボット「ブギー」を連想させる。『宇宙兄弟』は2025年を舞台に描かれているが、2021年現在、どれほどまで近未来のロボットに近づいたのだろうか。Astroとブギーを比較して考えてみる。

自律走行可能なロボット

 Astroは本体の高さが44cm、重量約9.35kgの小柄なロボットだ。本体側面にホイールを備え、必要に応じて自律的に移動することができる。前面上部にはディスプレイを搭載し、ビデオ通話時の画面として使ったり、あるいはシンプルな表情を映し出すこともできる。

 一方で宇宙兄弟のブギーも、本体前面にディスプレイを搭載し、豊かな表情でムッタこと南波六太ら宇宙飛行士とコミュニケーションを取っていた。またホイールによる自律移動が可能な点など、Astroとの共通点の多さには驚かされる。

 なおAstroの主な機能は、自宅の部屋や家族の見守り、侵入者や火災の検知、音声アシスタント「Alexa」を利用した天気やニュースの提供、それに音楽や動画の再生だ。また、ホームセキュリティサービス「Ring Protect Pro」にも対応している。

潜望鏡のような飛び出すカメラ

 Astroの特徴はAIやコンピュータービジョン、SLAM(自己位置推測と地図作成)を活用した自律稼働システムにある。本体カメラで自宅内のマップを自動作成すると、ユーザーが設定した立入禁止ゾーンを避けながら移動。そして高齢者などのコンパニオンロボットとして動作する。

 なおブギーも自分で周囲の様子を判断し、走行することができる。月面では宇宙飛行士の代わりに洞窟に侵入し、洞窟内の水の存在の可能性に関する大きな発見につながった。Astroは月面探査ができるほどタフなロボットではないが、その技術の方向性は間違いなくブギーにつながるものだ。

 Astroにあってブギーにはない特徴的な機能としては、本体上部へと飛び出す伸縮式のカメラがある。ここにはカラーカメラと赤外線カメラが搭載されており、本体の近接センサーと組み合わせることで障害物の検知、あるいはライブストリーミング用のカメラとして利用される。

連携機能も強力なAstro

 ロボットとしての能力は、人間の細かな気持ちを察して行動できる(作中ではムッタの伊東せりかへの恋心を認識し、コミュニュケーションに取り入れていた)ブギーにはおよばないAstro。しかし他のデバイスとの連携により、「家庭用ロボット」としては高度な機能を提供している。例えばオムロンのワイヤレス式血圧計と連携することで、Alexaを利用した血圧の定期的な測定と管理が可能だ。ペットの見守りカメラ「Furbo」と連携し、自動での餌やりにも対応している。

 Astroの後部にはカーゴスペースが設けられており、先述のような他のデジタルデバイス、あるいは食品を入れたジップロックコンテナなどを搭載し、移動することもできる。この機構、月面探査でのサンプル収集に役立つのでは……と考えてしまうのは、私だけだろうか。

 Astroの海外価格は1449.99ドル(約16万円)だが、招待制の「Day 1 Editions」は「Ring Protect Pro」プランが6ヶ月間付属し、999.99ドル(約11万円)のキャンペーン価格で販売される。製品は2021年末までに米国でリリース予定だ。Astroも十二分に高性能な家庭用ロボットだが、いつの日か宇宙を股にかけて活躍するブギーのようなロボットの登場にも期待したいものだ。

 (画像=Amazon)

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