単純作業がロボットのものになる日は近い? テスラを手掛けるイーロン・マスクの超未来的なプロジェクトとは
電気自動車ブランド「Tesla」から宇宙開発企業「SpaceX」まで、革新的な事業を次々と展開する実業家のイーロン・マスク氏。彼の語る未来は時に我々の理解が及ばない、突飛すぎる計画だと思えることもある。そんなマスク氏が抱える、超未来的なプロジェクトをご紹介しよう。
単純作業用のロボット
8月後半に開催されたTesla AI Day(テスラ・AI・デー)にて発表されたのが、人型ロボット「Tesla Bot」だ。マネキンのような外観のTesla Botの身長は5フィート8インチ(約170cm)で、体重は125ポンド(約57kg)。二足歩行により時速5マイル(約時速8km)で移動したり、45ポンド(約20kg)のものを持ち運んだりできる。頭部にはディスプレイを搭載し、インフォメーションや顔の画像などを表示できるという。
Tesla Botの目的は、繰り返しの単純作業や危険な場所での作業を人間の代わりにおこなうことだ。このことから、Tesla Botが工場や倉庫での利用を想定していることがわかる。なおロボットは周囲の認識に、Teslaの電気自動車にも採用されている自動運転機能「FSD」のハードウェアを利用するという。
マスク氏によれば、Tesla Botは2022年にも試作機が公開される予定だ。マスク氏が率いるSpaceXは巨大宇宙船「Starship」による火星開拓を計画しているが、そのような危険な場所での作業にTesla Botはぴったりだろう。
音速の超高速な乗り物
Teslaの電気自動車は時速300km以上での走行が可能なモデルもあるが、マスク氏はそれよりはるかに高速な移動手段「Hyperloop(ハイパーループ)」を計画している。これが実現すれば、飛行機よりも速くて鉄道のように手軽な乗り物が登場することになる。
Hyperloopの基本的なアイデアは、チューブの内部を浮遊する乗り物「Pod(ポッド)」が移動するというものだ。チューブを減圧することで空気抵抗をへらし、ハイパーループでは時速1000km以上の超高速での移動が可能だとされている。また開発当初は空気でポッドを浮かせる予定だったが、現在は磁力でポッドを浮かす方式へと変更されている。
もともとハイパーループは、サンフランシスコ〜ロサンゼルス間で持ち上がっていた高速鉄道計画よりも建築費が安く速い乗り物を提供できるとして、イーロン・マスク氏が2013年に発表したものだ。現時点では実用化や路線計画の目処は立っていないものの、同様の技術を開発しているVirgin Hyperloop(ヴァージン・ハイパーループ)は2020年11月に有人試験走行を実施。同社によれば、2029年までにはハイパーループの運用が始まる予定だ。
つまらない会社、ではなく
Hyperloopよりももう少し現実的な計画とそれを支える企業が、The Boring Company(ボーリング・カンパニー)だ。同社は自動運転の自動車が移動する地下トンネル「Loop(ループ)」を開発している。
Loopではトンネルの内部を、Teslaの「Model 3」「Model X」といった電気自動車が自動運転によって、最高時速172マイル(約時速280km)で走行する。地下トンネルには信号も交通渋滞もないので、人々がより効率的に移動できるというのがその狙いだ。
The Boring Companyはラスベガスやロサンゼルスなど、交通渋滞の激しい都市部でのトンネル設置を計画している。2021年にはラスベガスのトンネルが開通したが、テスト走行では車両の渋滞が発生するなど、計画の成否は現時点では未知数だ。
(画像=Tesla、SpaceX、The Boring Companyから)