にじさんじで最もブレない配信者の一人・鈴谷アキ 3Dの体を手に入れるまでの軌跡

鈴谷アキ、3Dの体を手に入れるまでの軌跡

 「好きなことで生きていく」という言葉は、2010年代にYouTuberやSNSのインフルエンサーが台頭してきたことで生まれてきた言葉だ。自由に自分らしい活動をしていく彼らの姿に憧れを持つ方も多いだろう。

 だが、いま現在のVTuberシーンには、多くのファンにエンターテインメントを届けるヴァーチャルタレントとしての活動も自ずと求められ始めている。この点は、鈴谷アキが活動を始めたころとは決定的に変わった点であり、いつしか鈴谷アキの「らしさ」がうまく伝わっていかない環境へと変わっていったことをさしていた。

 2020年11月28日。自身の誕生日と同日に、ついにYouTubeチャンネル登録者数が10万人を達成。配信終盤に気づいた彼はこれまでほとんど見せたことのなかった涙を流し、涙声で彼はリスナーに感謝を、そして口にしてこなかった苦しみについても言葉にした。

「1期生はどんどん先に進んじゃって、僕だけ足が遅くて、僕の性格や配信のやり方のせいなのではないかと自分を責めたりとか色々した。変わるためには変わらなくてはいけないとおもっていたけど、なかなかそれも難しくて……」

 3Dの体を手に入れてどんどん活躍していく同僚ら、活動初期から変化していく周囲環境、ドンドンとデビューして活躍する後輩たち。焦りと不安、もしくは苛立ちの日々を乗り越えてきた。この日の誕生日配信は2時間半を超え、この日の彼は思う存分にリスナーとの会話に花を咲かす配信となった。2021年6月には“バーチャル関東”に引っ越したことをファンに報告し、少しずつ彼も変化していく機運が見え隠れしている。

 そんな彼を含む元一期生8名が全員出演するライブ『initial step in NIJISANJI』が、今月末にぴあアリーナMMで開催予定となっている。ファンの多くが、そして本人らが待ち望んでいたであろうこのライブは、ある種の達成であり、VTuberシーンにとっても節目となるに違いない。

 2018年初頭から活動する8人は、にじさんじどころかVTuberシーンとしてみてもベテランといっても過言ではない。さまざまな要因で休止・引退が取りざたされるなかで、約3年間誰一人として欠けることなく活動してきたのは、彼ら8人だけではない多くのサポートや、何より折れることのない本人の心の強さがあったからだ。

 このライブで、鈴谷アキは3Dの体として初めて観客の前に登場する予定になっている。その時彼は、何を思い、どんな表情を見せてくれるだろうか。

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