AKB48「根も葉もRumor」のプロモーションを、 YouTube・Twitterの観点から考える
一方、Twitterではどのようなプロモーションを行なっているのだろうか。近年のAKB48の課題の一つとして「選抜メンバーの名前が全員知られているわけではない」が挙げられる。そのため、音楽番組に出演した際には、集合写真に名前を入れてツイート。メンバーの名前がすぐわかるようにしている。さらに、集合写真のツイートには、リプライでメンバーのTwitterアカウントを記載。気になったメンバーの名前がすぐにわかる上にアカウントまでわかると、AKB48だけでなく、個人アカウントへの流入も大きいだろう。大人数アイドルの難点は、メンバーが多すぎて「顔と名前が一致しない」こと。テレビ番組を見て気になった子を後から探そうとしても、結局どの子か特定できなかった、ということは意外と多い。衣装でも判別しやすい集合写真に名前をつけ、まず顔と名前を一致させることは、新規ファンの取り込みに効果抜群だといえる。
また、「根も葉もrumor」に合わせ、中の人『ねも』と『はも』がAKB48に関する噂(Rumor)をツイートする「噂AKB48(公式)」というアカウントも誕生。ゆるい文体でメンバーの出演情報や「根も葉もrumor」に関する情報を知れる。公式アカウントのツイートだと、どうしても告知が強くなってしまう。しかし、「噂AKB48(公式)」ではまるでメンバーの日常を覗き見しているような感覚になる。AKB48は「会いに行けるアイドル」がコンセプト。一番の売り、握手会がコロナ禍では実現出来ていない。「噂AKB48(公式)」では、メンバーを今までとは違う角度で身近に感じることができる。「会いに行けるアイドル」らしい距離感の近さを感じられる。
AKB48の現状、AKB48メンバーのみの選抜、1年半ぶりのシングル。3つの境遇が重なっているからか、「根も葉もrumor」に賭けている、という気迫がグループ全体で感じられる。ただ、テレビ東京で放送されていた『乃木坂に、越されました AKB48、色々あってテレ東からの大逆襲』は一時休止となり、再び地上波のレギュラーはゼロになってしまった。彼女たちに追い風が吹いているとは言い切れないが、AKB48は日本中誰もが知っているアイドルグループの一つであることは変わりない。
これまでも選抜総選挙、大組閣、じゃんけん大会など幾度となく仕掛けてきたAKB48。その度に世間では大きな話題となった。現状、「根も葉もrumor」が全盛期のシングル並みの知名度を獲得できるかといえば難しいところ。しかし、じわじわとこんなrumorが広まっているのではないだろうか。「AKBの今回の新曲、すごいらしいよ」。