Adoが選ぶ、2021年前後に見つけた「“次くる”ボカロPたち」と溢れるボカロ文化への愛

Ado「ボカロのおかげでいまの私があるし、いなければ活動すら始まってなかった」

ーーポップでキャッチーだけどどこか暗い感じがいいですよね。では三人目の方を紹介してください。

Ado：ねこみさんとねこむらさんのユニット・cat napですね。これも色んなところで話しているんですが、ゆったりしてるんですけど切なくて心がギュッとなる要素があって、世界観がすごくいいなと思うんです。最初に動画を見たときは、ミクと一緒に歌っていることに驚きました。人間とボカロがデュエットする楽曲自体が少ないので、それにびっくりしたところもあるんですが、ミクが実際に生きていて一緒に歌っているんじゃないか、静かな公園で二人で一緒に過ごしているんじゃないか、というくらい想像力が膨らむ歌詞と楽曲がすばらしくて。普段あまり「エモい」という言葉を使わないんですが、「これがエモいってやつか……」と唸ったのを覚えています（笑）。

ーー『ミュージックステーション』でも「レイジー・クルーズ」を推してらっしゃいましたよね。

Ado：そうです！　「レイジー・クルーズ」は、毎回セリフのところで「キャー！」と悶絶しちゃうくらい好きです。会話を盗み聞きして勝手に喜んでるみたいな感覚になるんですよ。会話といえば、曲以外にもねこむらさんが「初音ミクとしゃべるヤツ」という動画をたびたびアップしているんですが、それがまたすごく良くて。

ミクさんいつもありがと～～👧🎂🐈🐈#初音ミクとしゃべるヤツ#初音ミク誕生祭2021#初音ミク生誕祭2021 pic.twitter.com/ttx3lRwcDi

— ねこむら(cat nap) (@nekomura814) August 31, 2021

ーーあれがあるから曲の魅力が増幅しますよね。生活を見ているからより感情が入るというか。

Ado：そう、まさにそうなんです。ねこむらさんの家のミクちゃんというキャラクターが頭の中に完全に出来上がっているからこそ、悶絶しちゃうんです（笑）。

ーーでは、最後となる四人目を教えてください。

Ado：最近改めて聴くようになった、という感じなんですが、平田義久さんという方を紹介したいです。前から「東京は夜」という楽曲を知っていたんですけど、cat napさんを知ってひたすら聴き倒していた時期に、「moonchildren feat. 初音ミク＆cat nap / 平田義久」という平田さんの楽曲に参加しているのを知って。そこから「東京は夜」の人だ、と改めて認識したあとに「アヤカシライダー」を聴いて「こういう曲も書ける方なんだ、すごい！」と驚いたのを覚えています。

ーー平田さんの楽曲の魅力とは？

Ado：とにかく多彩なこと、ですね。先ほど挙げた「東京は夜」「moonchildren feat. 初音ミク＆cat nap / 平田義久」「アヤカシライダー」の3曲もかなり色が違うように聴こえますが、通して聴くと、全部同じ人が作っているのかとビックリするはずです。

ーーありがとうございます。最後に、Adoさんは色んな媒体でボーカロイドの魅力、ボカロ愛について話しています。それは出自であるシーンへの恩返し的な、ある種の使命感を持っているように見えるのですが、いかがでしょうか。

Ado：使命感もあるかもしれませんが、ボカロが好きだから、ということに尽きますね。ボカロのおかげでいまの私があるし、いなければ活動すら始まってなかったかもしれないと思うと、絶対に私の中では外せないカルチャーなんです。だからこそ、もっとこの魅力について話したり、自分が感激した楽曲を紹介できるならいくらでもやりたいと思っています。そうして色んな方に知ってもらえたり、曲だけではなくボーカロイドPやボーカロイド文化そのものにスポットが当たればさらに嬉しいです。

■イベント情報
『The VOCALOID Collection ～2021 Autumn～』
開催期間：2021年10月14日（木）～17日（日）
https://vocaloid-collection.jp/
https://twitter.com/the_voca_colle