誕生、廃止、そして奇跡の復活……『ポケモン』シリーズに寄り添い続けた「じてんしゃ」の足跡を辿る

『ポケモン』と「じてんしゃ」の歴史

 7月30日、一台の自転車が『ポケットモンスター』(以下、ポケモン)界隈を大きく賑わせた。『ポケットモンスター 赤・緑』(以下、赤・緑)に登場したアイテム「じてんしゃ」の等身大模型が、ポケモン情報局(公式Twitter)でお披露目となったからだ。

ポケモン公式HPより
ポケモン公式HPより

 こちらの模型は、「ポケモン情報局のフォロワー数100万人突破」を記念して作られたもの(キャンペーン応募は終了済)。ゲーム版のデザインを意識したカラーリングに加え、ホイール部分にはピカチュウやモンスターボールのマークが丁寧に刻み込まれている。ちなみに、”100万”という数字は、『赤・緑』で自転車が100万円で売られていたことに起因している。思わず「冗談だろ!」とツッコみたくなる数字だが、本当にゲーム内で100万円と公言されているから驚きだ。

 「ポケモン」シリーズと共に産声を上げた自転車は、後続シリーズでも度々登場し、時にはバージョンアップを遂げ、時には不遇の時代を迎えたこともある。今回は、ナンバリングタイトルにおける「自転車の系譜」にフォーカス。各タイトルごとの役割をはじめ、性能の違い、自転車にまつわるエピソードをご紹介しよう。

「ポケモン」シリーズと共に産声を上げた”じてんしゃ”

 「ポケモン」シリーズの経験者ならば、きっと一度はゲーム内で自転車に頼ったことがあるはずだ。道具メニューを開き、自転車にカーソルを合わせる。これだけで、徒歩よりも2倍ほど速くフィールドを移動できる。手持ちポケモンが「そらをとぶ」(拠点間の移動手段)を覚える前だと、より自転車の有り難みを実感することだろう。”移動スピード上昇”という点は各シリーズを通して共通となっており、後続タイトルになるにつれ、性能面でいくつかの”進化”が見られる。

Evolution of All Pokémon Bicycle & PokéRide (1996 – 2019)

 その始まりと言うべき『赤・緑』(1996年)の自転車は、クチバシティで手に入る「ひきかえけん」をサイクルショップの店主に渡すことで獲得可能。性能はいたってシンプルだが、乗車時のクセも無いため、大変取り回しが良い。

 ちなみに自転車にまたがると、街中や洞窟など場所に限らず、再び徒歩へ戻るまで専用BGMが流れ続ける。この仕様も相まって、歴代の自転車BGMの中でも、初代の自転車が馴染み深いと感じるユーザーは多いのではないだろうか。

 『赤・緑』の発売から3年後、『ポケットモンスター 金・銀』(1999年)でも自転車は変わらずに続投となった。しかし、スペック面はほぼ据え置き。あくまでも移動スピードが速くなるだけで(十分に便利だが)、まだまだ”便利な交通手段”という域に留まっていたように思う。

『ルビー・サファイア』でターニングポイントを迎える

 「ポケモン」シリーズの自転車に転機が訪れたのは、『ポケットモンスター ルビー・サファイア』(2002年)。と言うのも、自転車に2種類のバリエーションが登場したからだ。

 1つ目の「マッハじてんしゃ」(以下、マッハ自転車)は、同方向へボタンを入力し続けることにより、通常の自転車を上回るスピードを実現。初速が遅いものの、扱いに慣れれば徒歩の数倍速い移動が可能。通常だと登ることができない流砂、通過した瞬間にヒビが入る床なども突破できる。

 2つ目の「ダートじてんしゃ」(以下、ダート自転車)は、とにかく操作感がテクニカル。ジャンプ(横方向に飛び移る)、ウィリー(前輪を上げる)、ダニエル(ウィリー状態で跳ねる)といった固有アクションが備わっていて、ちょっとした段差や離れた足場を渡る際に真価を発揮する。

 システム上、2台の自転車は同時に持ち運びできないため、必然的にフィールド内の移動ルートが限られてくる。つまり、”マッハ自転車とダート自転車でしか通れない道”がある……というわけだ。そうした意味でも、『ルビー・サファイア』から自転車の注目度は飛躍的に高まったと言えるだろう。

Pokémon X & Y – All Roller Skates Tricks & Locations

 その後、『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』(2006年)→『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』(2010年)と実装された自転車だったが、『ポケットモンスター X・Y』(2013年)では新たに「ローラースケート」が登場。こちらは自転車とほぼ同等のスペックを有していたほか、ローラースケートでしか通れないレールがフィールド内に設置されていたり、アクロバティックな専用トリックを発動できたりと、従来作には無いシステムを取り入れていた。一方の自転車も2種類のカラーバリエーションが容易されていたものの、機能面で大幅な進化を遂げることはなかった。



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