誕生、廃止、そして奇跡の復活……『ポケモン』シリーズに寄り添い続けた「じてんしゃ」の足跡を辿る

『ポケモン』と「じてんしゃ」の歴史

シリーズ20年目にして初の廃止 そして奇跡の復活

 「ポケモン」がシリーズ20年目に達したころ、ついに自転車は初の廃止を宣告される。『ポケットモンスター サン・ムーン』(2016年)では、新要素「ポケモンライド」が誕生。ケンタロス、サメハダー、バンバドロ……などなど、文字通りポケモンの力を借りることで、フィールドを快適に移動できるようになった。

 続く『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ』で息を吹き返すかと思いきや、こちらも自転車の登場は叶わず。代わりにポケモンライドはバージョンアップし、計18種類のポケモンに乗ることが可能。シリーズ初期からプレイヤーの移動を支えてきた自転車だったが、2タイトル連続の未実装という現実を前に、真の廃止を迎えたかに思われた。

 ところが、「ポケモン」シリーズにおいて自転車は奇跡の復活を果たした。『X・Y』から数えること6年。自転車は「ロトムじてんしゃ」と名前を変え、『ポケットモンスター ソード・シールド』(2019年)にてカムバック。しかも単に戻ってきただけでなく、「水上移動」や「ターボ機能」といったスペック面の強化も見受けられた。さらに、パーツ換装やカラーリング変更を伴うことで、ゲームプレイを通して自転車を強化する”カスタムの楽しみ”も加わった。

 もう1点興味深いのが「ロトムラリー」。自転車を使ったミニゲームで、プレイヤーはフィールド内の障害物をかわしつつ、様々なコースを駆け巡ることになる。プレイフィールはレーシングアクションに近く、ロトム自転車を持っていない状態だと、そもそも参加すらさせてくれない。過去タイトルでは移動手段の一種に過ぎなかった自転車が、ミニゲームのお題として大々的にフィーチャーされた。

 一度は表舞台から消えたものの、自転車は『ソード・シールド』にて大きなターニングポイントを迎えたと言って過言ではないだろう。

「ポケモン」シリーズに寄り添い続ける自転車

 「ポケモン」シリーズの成長に寄り添い続けた自転車は、メインを飾るポケモンたちと比べると確かに地味かもしれない。

 しかし、各タイトルを追うごとにマイナーチェンジや差別化がなされているため、ポケモン史を探る一種の手がかりとして扱うことができるのも事実。今後のナンバリングタイトルで実装されるかは不明だが、筆者としてはシリーズが紡いできた”自転車の足跡”に期待する所存だ。

(画像=ポケモン公式HPより)

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