「AirTag」を買う前に。安価に手に入るスマートタグの優位性とは?
スマホは「Tile」を探し、「Tile」からもスマホを探せる
Tileも、カード型のTile Slimやリモコンに貼り付けるタイプのTile Stickerなど、様々な形状のバリエーションがある。
たとえば一番オーソドックスな「Tile Mate 2020」にはストラップホールがあり、そのままキーホルダーなどに取り付けることができる。ちなみに、AirTagは、キーリングが別途必要でこれがAirTagと同程度のコストがかかる。エルメスのキーリングを付けたいというオシャレさんにはいいのだろうとは思うのだが……。
また、スリムなカード型は財布のカード入れなどにそのまま入れておけるし(AirTagの場合どこに入れるのだろう?小銭入れにそのまま?)、ステッカータイプのTileはデジカメなどに貼り付けておける。こうやって用途によって使い分けができるのもTileのよいところだろう。
また、Tileの面白いのは、フィットネストラッカーやノートPCの一部機種で対応しているものまであるということだ。フィットネストラッカー「Fitbit Inspire 2」には、忘れ物防止タグ「Tile」の機能があり、TileアプリでInspire 2を発見できるようになっている。また、同様にHPのノートPC「Elite Dragonfly」などもやはりTileモジュールを内蔵しており、探し物をノートPCから音を鳴らして探したり、最後に検知した場所と時間を記録し、地図上に表示する、といったことまで可能になっている。
ところで、TileがMAMORIOと大きく違うところは、アプリからTileを鳴らすことができる点だ。これが特徴的な高い音で、失せ物がどこにあるか探しやすい。MAMORIOが家の外で物をなくしたときに役にたつのに対して、Tileは家の中でも役にたつという感じだろうか。
ちなみに、現在主力製品の「Tile Mate 2020」は縦横35mmの正方形で、厚みは6.2 mm、重さは6グラム。こうしてみると厚み8mm、重さ11グラムのAirTagが以下に厚く重いかが分かる。
なお、Tileの価格だが、「Tile Mate」であれば、単品で2,499円、4個セットで7,750円。AirTagは、単品で3,800円、4個セットで1万2800円。Tileのほうがかなり安価だ。この手の忘れ物防止タグは付けていくうちにあれもこれも……と増やしていきたくなるものでそう考えるとTileのお得感は大きい。
また、Tileは、スマートスピーカーにも対応している。「OK、 Google、Tileを使ってカギを見つけて」「Alexa、Tileを使ってカギを見つけて」といった音声操作でスピーカーを鳴らすことが可能だ。
(まぁ、AirTagもiPhoneからSiriを使って「Hey Siri、財布を探して」で探せるのでこの点はさして変わらないかもしれないが……)
それから、面白いことにTileでは、Tileのボタンをダブルクリックしてスマートフォンを鳴らすこともできる。スマートフォンがどこにあるかわからないとき……というのはあまりないシチュエーションだと思うがユニークな機能だ。これはAirTagにはない。
「Tile」「MAMORIO」も悪くない選択肢(「AirTag」ももちろんアリ)
こうやって見てみると、対抗機種であるMAMORIO、TileにもAirTagと比較して優位な点は結構ある。
AirTagはiPhone11以降で対応しているUWBが利用できるためより正確にタグの位置を把握しやすい、といったアドバンテージは間違いなくある。だが、どんなiPhoneでも、どんなシチュエーションでも有利と言うことはない。
それにAirTag本体の形状にも問題があるように筆者には思う。
まず言えば、厚さ8ミリの本体は碁石のようなカーブを描いている。財布やスリムなカードホルダーに入れて持ち運ぶ用途にはあまり向いていないだろう。その点、MAMORIO・Tileなどは薄型、カード型といったバリエーションが存在する。
かくいう筆者も実は、一応、AirTagは注文してはみている(残念ながら、まだ着荷してないのだが)。ただ使っているiPhoneが7 Plusと古くUWBによる精密誘導がないため、捜し物への誘導はBluetoothを使うはずで、MAMORIO、Tileと精度的には変わらないはずだ(原理的に同じなのだから変えようがわけだ)。
対応していないAndroidユーザー、iPhoneXR/Xs以前のユーザーであればAirTagでなく、Tile、MAMORIOを使うというのも考えてみてもいいのではないだろうか。
■大和哲
IT&サイエンスライター。モバイルとガジェットとバーガーキングをこよなく愛しています。Web:http://ochada.net/Twitter:@deyamato
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