『Returnal』がもたらすゲーム体験は、PlayStation5時代の“基準”となるか

『Returnal』はPS5時代の“基準”となるか?

『Returnal』が感じさせた次世代機のポテンシャル

『Returnal』(リターナル) ストーリートレーラー

 『Returnal』を語るなら、次世代機がもたらす新たなゲーム体験についても触れておかなければならない。数少ないPlayStation 5独占のオリジナル作品となった同タイトルでは、次世代機ならではの映像と音の世界を体感できる。

 実写映画さながらのハイクオリティなムービーシーン、全体を通じて一貫する60fpsのなめらかなアクション、さまざまな音を360度あらゆる方向から届ける3Dオーディオ。これらはすべて、PlayStation 4を含めた他ハードとの並行リリースでは享受しきれなかった体験だろう。プレイ開始から数秒で“初めてのもの”とわかるこのゲーム体験は、それぞれがプレイヤーを『Returnal』の世界に引き込む重要な要素として機能する。「PlayStation 5のローンチから約半年でリリースされた独占のオリジナル作品」という同タイトルの立ち位置からは、ゲーム性の面白さとは別の驚きを受け取れるはずだ。

 また、『Returnal』が刺激する感覚は、視覚・聴覚だけにとどまらない。PlayStation 5純正コントローラー『DualSense(デュアルセンス)』を通じた触覚への刺激も、新たなゲーム体験のうちのひとつだ。同機の特性である「ハプティックフィードバック」からは、セレーネがアクションをするたびに、さまざまな振動がプレイヤーへと伝わる。銃弾を発射する衝撃、敵と対峙したときの緊張、謎に迫るときの高揚と不安。これらはその一例にすぎない。一つひとつの振動が臨場感を高め、気づけばプレイへと没入している。この体験もまた、同タイトルがPlayStation 5独占でリリースされたからこそのものだと言えるだろう。

 『Returnal』におけるゲーム体験は、今後PlayStation 5でリリースされるタイトルの基準となっていくかもしれない。ゲームというエンターテインメントの最前線がそこにはあった。

■結木千尋
ユウキチヒロ。多趣味なフリーライター。
執筆領域は音楽、ゲーム、グルメ、テクノロジーなど。カルチャー系を中心に幅広いジャンルで執筆をおこなう。
人当たりのいい人見知りだが、絶対に信じてもらえないタイプ。Twitter:@yuuki_chihiro

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