Spotify、サブスク型Podcastサービスを発表 アメリカと欧州では値上げを告知

Spotify、サブスク型Podcastサービスを発表。

 Appleは21日にApple Podcastサブスクリプションを発表してPodcast市場に一石を投じたのだが、それからあまり日を置かずにSpotifyも新たな一石を投じてきた。さらにSpotifyは、アメリカと欧州のユーザに対して少し残念な告知を行った。

最初の2年間は手数料無料

 Spotifyは27日、サブスク型Podcastサービスを開始することを発表した。同サービスは27日よりアメリカで始まり、今後数ヶ月間で世界各国に展開される。

 Spotifyのサブスク型PodcastサービスとApple Podcastサブスクリプションの注目すべき違いは、クリエイターから徴収するプラットフォーム手数料である。Spotifyのサービスでは、今後2年間、クリエイターは収益の100%を受け取れる。2023年以降はプラットフォーム手数料として収益の5%が徴収される。対するAppleのそれは、アメリカ大手メディアCNBCが報じているところによれば、最初の1年間は収益の30%、2年目以降は収益の15%が徴収される。

 サブスクリプション料金は、クリエイターが月額2.99ドル(約330円)、4.99ドル(約540円)、7.99ドル(約870円)から選ぶ。Appleの競合サービスは、クリエイターが料金を自由に設定できる。

 Spotifyのサブスク型Podcastサービスを利用する場合、直接アプリから実行できず、AnchorのWebサイトを経由することになる。こうした導線なのは、App StoreおよびGoogle Play Storeのプラットフォーム手数料発生を回避するためである。

 Spotifyは、同アプリ以外でPodcastを提供しているクリエイターが同アプリでも提供可能とする機能「Spotify Open Access Platform(OAP)」の準備も進めている。同機能は、数ヶ月以内に共有される予定だ。

AppleとSpotifyはPodcast界の両雄

 AppleとSpotifyが相次いでサブスク型Podcastサービスを投入したことによって、Podcast市場はどのようになるのだろうか。この疑問に答えるヒントになりそうな記事が、調査会社eMarketerから発表されている。3月1日付で公開されたその記事によると、2021年時点におけるAppleのPodcastのリスナー数は毎月2,800万人に対して、Spotifyのそれは2,820万人でAppleを上回っている。

 両社のPodcastリスナー数の推移を2023年まで予測すると、Spotifyは今年約40%成長して2023年には3,750万人に達する一方で、Appleはほぼ横ばいに推移して2023年に2,880万人とわずかに増加すると見られている(下の画像参照)。注意すべきは、この予測は両社ともサブスク型Podcastサービスを発表していない3月に発表されたことだ。SpotifyのPodcastサービスのプラットフォーム使用料がAppleより安いと判明した現時点で予測した場合、Spotifyのリスナー増加数はさらに増えるかも知れない。


 アメリカのPodcast市場におけるリスナー数も、2021年には前年比10.1%増の1億1,780万になると予想されている。さらに、2021年になりPodcastリスナー数はデジタルオーディオサービス全体のリスナー数に対して53.9%を占めるようになり、初めて半数以上となった。2024年にはPodcastリスナー数シェアは60.9%になると見込まれる。

 世界のPodcast市場の動向に関しては、ラジオ専門メディア『Inside Radio』が2020年4月に報じている。世界のPodcast市場の収益は2021年には10億ドルを超え、その後も年平均成長率15%で成長を続け、2024年には13億5,300万ドルになると予想されている。

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