EasyPop×めろちん「ハッピーシンセサイザ」タッグが語り合う、“踊ってみた” カルチャーの魅力と進化

文・取材＝杉山仁

「文化が進化していく過程なんだろうな、と思っています」（めろちん）

――「踊ってみた」という文化についてはいかがですか？

EasyPop：踊ることって結構勇気がいることだと思うんですけど、当時の「踊ってみた」って、ダンスが上手い人も、そうではない人も含めて、色んな人たちが集まっていて、そのみんなが本当に楽しそうに踊っていて。僕はその雰囲気が、すごく好きでした。有名であるないにかかわらず、若い子たちが色んな場所で踊っていて、「今を楽しんでるな」と。「おちゃめ機能」で女子高生が大阪城の前で踊ったりしているのを観ても、とても素敵だと思っていたし、ある意味では憧れていましたね。本当にたくさんの「踊ってみた」を観ていたし、生まれ変わったら、ああいうこともできたらいいな、と思いながら観ていました。

めろちん：こういう音楽や踊りのカルチャーって、ずっと進化していくものだと思うし、進化していかなければ廃れるものだと思っていて。僕らも活動をしていく中で、時には叩かれたりしたこともありましたけど、そういう時期も経て、今では「踊ってみた」自体も進化しているし、ボカロPの人たちも「もっといいものをつくろう」「もっと聴いてもらえるものをつくろう」と色んなことを考えているはずで。時代ごとに波もあるとは思うんですけど、それも含めて、文化が進化していく過程なんだろうな、と思っています。

EasyPop：でも、本当にすごくいい時代になったよね。僕自身は当時から、「好きなことやってるんだから、何を言われても気にしなくていいじゃん」と思っていましたけど、ボカロが生まれた当時は、「こういう文化ってキモいよね」と言われたりもしていて。でも、今ではその文化がすごく太い幹になっていますよね。当時もすごく楽しかったし、そして10年経った今も、すごく楽しいな、と思います。そういう意味でも、自分がなってほしい世の中になっているし、自分も好きなことを死ぬまでやっていきたい、と思っています。

――4月24日（土）と25日（日）には、ボカロ文化の祭典『The VOCALOID Collection 2021 spring』が開催されます。昨年末に開催された第一弾『The VOCALOID Collection -2020 winter-』では、めろちんさんがステージに登場して「ハッピーシンセサイザ」などのダンスを披露し、EasyPopさんがStemデータの配布で参加されていました。第一回開催を振り返ってみて、いかがでしたか？

EasyPop：『ボカコレ』は、「ここからのし上がろう」という若いクリエイターの気持ちもたくさん見えて、すごくいい企画だな、と思いました。

めろちん：Stem配布の企画もすごくよかったですよね。単純に「この曲はどうやってつくられているのかな」ということが分かって勉強にもなりますし、もっと色んな曲でやっていただきたいです。実は僕もダウンロードしました。

EasyPop：えっ、そうなの？どの曲をダウンロードしたの？

めろちん：全部です！（笑）

EasyPop：そうだったんだ（笑）。あの企画はすごくよかったよね。

めろちん：だからこそ、もっと広がってくれたらいいな、と思います。あれって、曲をつくっている人以外も、結構楽しめる企画なんじゃないかな、と思うので。

EasyPop：確かに、せっかくのいい企画だし、もっと広めてもらえたら嬉しいですね。『The VOCALOID Collection』自体が、色々な若手クリエイターがここからチャンスを得られるようなイベントになってくれたらいいな、と思います。

――ネットで自己表現をするという意味でも、今ではみなさんに影響を受けた若い人たちもどんどん出てきていますよね。

EasyPop：僕が書かせていただいた『マジカルミライ』の「巡音ルカ 10th Anniversary」テーマソング「Jump for Joy」の中には、若いクリエイターも聴いてくれるだろうな、と思っていれた「新しき時代は／君が」という歌詞が入っているんですけど、今はもう、僕らのときみたいにバカにされる土壌ではなくなって、ネットの音楽がメインストリームになっています。だからこそ、若い人たちには思いっきり自分の好きなものを追求してもらいたい、と思いますし、「いい時代になったな」と思います。そして、この流れはこれからもしおれないし、時代はこれからも人が面白いと思えるような方向に進んでいくのかな、と思います。

めろちん：TikTokやYouTubeのショート動画もそうですけど、昔と違って自己表現をするためのハードルはすごく下がっていますよね。僕らがデビューした頃は、マスクをして顔を隠したりすることも当たり前でしたけど、今って顔を出すことはますます普通になっていて、そういう意味でも、どんどん自己表現はしやすくなっているはずです。そのときに、僕は新旧の世代交代が続いていくというよりも、地層みたいに色んな層が積み重なっていると考えた方がいいのかな、と思っていて。ある層でやりたいことをやった人は、また違う層に移っていってもいいし、その層でずっと楽しむ人がいてもいいと思うし。それが今のエンタメなんじゃないかと思っていたりします。

――なるほど。すごくしっくりくる表現ですね。

めろちん：なので、ある層にとどまって、ずっとそれを楽しむのもひとつの方法ですし、上の地層に行く人は、上を目指せばいいし。自己表現のハードルが下がっているからこそ、やりたい人はどんどん挑戦してほしいな、と。そんなふうに思っています。

The VOCALOID Collection～2021 Spring～

開催日時：2021年4月24日（土）～25日（日）
開催場所：ニコニコTOPページなどのネットプラットフォームほか、リアル会場でも開催予定
主催：株式会社ドワンゴ
協賛：東武トップツアーズ株式会社
ボカコレステーション：シアー株式会社
番組協賛
協力：株式会社インクストゥエンター、株式会社インターネット、
NHN PlayArt株式会社（#コンパス）、ガイノイド、
クリプトン・フューチャー・メディア株式会社、
JNCA（一般社団法人日本ネットクリエイター協会）、
株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ、株式会社NexTone、
VOCALOMAKETS、株式会社AHS、株式会社マクアケ、ヤマハ株式会社
メディアパートナー　：InterFM897、JFN、MTV、Twitter Japan
公式サイト： https://vocaloid-collection.jp/　
公式Twitter ： https://twitter.com/the_voca_colle

The VOCALOID Collection LIVE

有名ボカロPやボカロ楽曲ゆかりのアーティスト/クリエイターがジャンルの垣根を越えて大集結し、無限に広がりつながっていく「ボカロ文化」を体現するスペシャルライブ。

開催日時：■2021年4月25日（日）開場 14:00、開演 15:00　終演 19:00 予定
会場：幕張メッセホール4 (千葉市美浜区中瀬2-1)
料金：
■ネット会場チケット〈Go To イベント対象〉
・一般チケット：￥3,200（税込）（割引後価格）
※Go To イベント対象のため、割引価格でご購入できます。
販売期間：2021年4月6日(火)～5月23日(日)
タイムシフト視聴可能
視聴可能期間：2021年4月25日(日)～5月24日(月)
■リアル会場チケット
・S席チケット：￥6,800（税込）
・一般チケット：￥5,800（税込）
・ペア割チケット：￥10,500（税込）
※一般チケット・ペア割チケットのみ、
中高生は1人1,000円割引（中高生エリアへのご案内となります）
出演者（50音順）：愛川こずえ、足太ぺんた、アナタシア、Ayasa、＋α/あるふぁきゅん。、いりぽん先生、WOOMA、仮面ライアー217、ATY、菊池亮太(アノアタリ)、Capital Rhythm、kz(livetune)、小林幸子、SHARE LOCK HOMES、しらスタ（通称おしら）、SHiN、粗品（バーチャル出演）、八王子P、ピノキオピー、みきとP＠アコースティック feat.ねんね、ヤスタツ、大和、りりり、わかざえもんほか
▼チケットの購入はこちら： https://vocaloid-collection.jp/live/