『PUI PUI モルカー』ヒットに関する数字をリサーチ アニメの枠に留まらない快進撃の理由は?
アニメや映画のファン以外にも訴求 今後どんな記録が残されるのか
What the heck!? This has grown in popularity all of a sudden?! https://t.co/7nV993trXY
— Nicole Macintosh (@thenoodlepups) June 16, 2016
作品の良さを語るのは当然で、作品の良さがあってこそのヒットであることに異論はない。原作や声優・主題歌の人気が下地にあって、前評判からブーストをかけるのは商売上ごく当たり前。むしろそれを経ずしてヒットにつなげることの難しさも欠かせない。
それにもともとTwitterのほかSNS全般では、猫や犬などの生物系、手芸やDIYなどのクラフト系も日頃からバズったりしている。アニメや映画のファン以外に訴求する素地があっても狙い通りにいくわけではないにしろ、実物感のあるコマ撮りが奏功している。
なお監督・見里朝希の経歴から、個人制作・自主制作の観点で考察することもできる。その場合、新海誠の短編『ほしのこえ』を引き合いに出すのが定番ともなっていたが、長編『君の名は。』のメガヒット以降は使いにくくなった。
最近『モルカー』というアニメがやわらか戦車に似てるという噂を耳にするようになり、なら訴えるしかないと思って観て見たら、やわ戦の3億倍カワイ面白くて溶けた。
— ラレコ (@rarecho1) January 21, 2021
またショート作品でというのであれば、たびたびバズってツイートランキングの上位に来る『ブルーハムハム』などを挙げても良いかもしれない(『モルカー』が放送されている「きんだーてれび」自体が5分のショート枠なので、他の曜日も確認したい)。
コマ撮り以外の作品との比較に違和感を覚える人もいるだろうが、今後の制作の側面を加味してみてほしい。コマ撮り制作のハードルは諸々と高いものの、2Dや3Dに比べて作品数が圧倒的に少ない。今回のヒットで充分すぎるアドバンテージを得たことになる。
放送終了後でもヒットの理由はともかく、作品レビューは間に合うだろう。全12話を連続で見ると30分くらい。「この分数でも腰を据えて見るのが大変」という現代人の参考にはなる。やはり“人間は愚か”なのか、今後どんな記録が残されるのかを見届けたい。
■真狩祐志
東京国際アニメフェア2010シンポジウム「個人発アニメーションの15年史/相互越境による新たな視点」(企画)、「激変!アニメーション環境 平成30年史+1」(著書:アニメとアニメーションで異なる情報収集、自主制作経験者のテレビシリーズ監督年表ほか掲載)など。