任天堂・宮本茂氏『スーパー・ニンテンドー・ワールド』世界展開を明言 海外メディアにはゲーム哲学を語る
「シューティングだけが人間の喜びの源ではない」
インタビューでは、ゲームデザインや宮本氏のゲーム観にも話が及んだ。同氏はゲームのアクションやムーブメントに取り組むのが好きだと発言したうえで、ゲームには現実で体験できるような馴染みのあるものと、非現実的なものをミックスする必要があると説明する。こうしてデザインされたゲームをプレイすると、親しみやすい部分と何か普通とは違う部分があるように感じられる、とのこと。
(バトロワゲームの人気に象徴されるように)「映画やゲームが銃と射撃に支配されている風潮に関してどう思うか」と質問には「的に向かってボールを投げるという行為は興奮するものであり、その興奮自体は人間の本性だ」と同氏は答えた。しかし「シューティングだけが人間の喜びの源ではない」と続けたうえで「儲かるという理由だけでシューティングゲームばかり開発するのは理想的とは言えない」とも話した。
最近のゲームスタジオは悲しみや喪失感といった複雑な感情をゲームに盛り込もうとしているのに対して、同氏はそうした感情を避けているのではないか、という問いかけについては、「複雑な感情を扱うにはゲームよりも映画のような『受動的メディア』のほうが向いている」と指摘。任天堂のゲームは「暖かい感情」を提供するように設計されていて、「私はより多くの応援と笑顔を届けることを願っており、複雑な感情を扱ってこなかったことをまったく後悔していない」と答えた。
人々に「より多くの応援と笑顔を届けること」を使命としている宮本氏が深く関与しているスーパー・ニンテンドー・ワールドは、訪れる人々を温かい感情で包んでくれることだろう。そして、新作モバイルゲームにも同氏のゲーム哲学が反映されているに違いない。
トップ画像出典:任天堂ニュース記事「「スーパー・ニンテンドー・ワールド™ Direct」を公開。エリア内を任天堂の宮本が直接ご紹介。」より画像を引用
■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi