Shutterstockが音楽業界に進出ーーAmper Musicの買収で「画像+音楽」の新たなアプローチ模索

Shutterstockが音楽業界に進出

 世界最大の画像プラットフォームを運営するShutterstockに再編の噂が出ている。

 Shutterstockは11日、AIによる音楽制作をリードするAmper Musicを一部買収したと公式サイトにて発表。Amper Musicが運営する「アンパー・ミュージック」はユーザーによるオリジナルな音楽の生成を実現するプラットフォームであり、すでにユニークな楽器を使って奏でる音楽クリエイターの演奏を収録したオーディオサンプルが100万単位で蓄積されている。

 Shutterstockは今回のAmper Music買収によりAI部門を強化するとしている。Amper  Musicの社員はShutterstockのチームの一員として、画像を検索したり、Shutterstockに登録しているアーティストにより編成された楽曲を発見したり、さらには画像を自由自在に編集したりできるようにするなど顧客体験の向上に尽力する。

 ShutterstockのCEO、スタン・パブロフスキー氏は、「Amper Musicの社員が弊社のチームに加わることになることを光栄に思っている。今後は弊社の製品やサービスへのイノベーションを通じて、さまざまな顧客体験を提供する方法を見出すことに注力していく」とコメントしている。

 2019年におけるShutterstockの業績は前年に比べ堅調だ。同社が公開している財務データによると、通年の売上高は前年比で4パーセント増の6億5050万米ドル(約650億5千万円)。そのうち純利益は前年よりも少ない3460万米ドル(約34億6千万円)であったが、その原因としてマーケティング費用が嵩んだこと、サイバーセキュリティー関連への投資機会が増大したことが関係していると分析している。なお、2020年は新型コロナウイルス感染症による巣ごもり効果が影響し、さらに収益を伸ばすことが予想される。

 音楽業界では同業者間での買収が相次いでいる。テクノロジーメディア「TechCrunch」によると、音楽ストリーミングサービス大手の「Spotify」はストリーミングサービスの多様化を目指すべく、音楽プロデューサーや作曲家、シンガーなどの音楽のプロフェッショナル向けに提供されるクラウドソーシングサービス「SoundBetter」を買収。「SoundBetter」には18万名以上のユーザーが登録されており、2020年11月12日現在、サイト内で支払われた金額の総計は1900万米ドル(約19億円)を超えている。Spotifyは過去にも音楽を自由に購入できるプラットフォームの構築を試みたが、その努力は実を結ぶことなく、昨年7月にβ版を閉鎖している。

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