ヤマハが開発する次世代ライブビューイング「Distance Viewing」お披露目! ORESAMAのライブが“完全再現”される

次世代LV「Distance Viewing」お披露目

 ヤマハ株式会社は自社が開発した次世代ライブビューイング「Distance Viewing」のイベントを、10月19日にVeats Shibuyaにて初めて開催。イベント前には、メディア向けに先行でお披露目された。

 「Distance Viewing」とは、今年4月にスタートしたプロジェクト「Yamaha COVID-19 Project」の取り組みの一つとして、アーティストの迫力のあるライブパフォーマンスを忠実に記録し、そのパフォーマンスをステージ上にバーチャル再現する新しいライブ形式のこと。コロナ禍で苦境にあるライブハウスの新たな動員源となるライブコンテンツで、ライブ音声を完全再現し、リアルな等身大映像と本番さながらの照明演出でそのパフォーマンスをステージに蘇らせる。今回は前日18日に同会場で開催された『ORESAMA ONEMAN LIVE “Gimmme!”』を忠実に記録し、ステージ上に再現した。

 大型スクリーンを用いた等身大映像と、ライブさながらの照明演出、さらにライブ用大型スピーカーとPAエンジニアの存在によって、まるで本物のライブを疑似体験しているかのような錯覚に陥った。映画館で中継上映されるライブビューイングとは似て非なる感覚。ライブハウスでしか成し得ない音圧は、パソコンやスマートフォンを介しての配信ライブでは到底味わうことのできないボリュームレベルだ。

 上映されたのはORESAMAによる「OPEN THE WORLDS」「cute cute」の2曲。ORESAMAの2人によるVTRコメントも流れ、ボーカルのぽんは「こういった技術がライブの可能性を広げてくれるのではないか」と期待を寄せた。

 ステージにはプロジェクトリーダー・畑 紀行氏、ヤマハデザイン研究所 主事・柘植秀幸氏、Veats Shibuya店長・川上貴也氏が登壇。柘植氏はプロジェクトの展望について、企画に賛同するアーティスト、ライブハウスを募りイベントを実施していく予定であり、より簡単にオペレーションが行える仕組みを開発し、ある会場でのライブを別の会場に届ける仕組みも作っていくと明言した。

 川上氏は、昨年10月にオープンしたVeats Shibuyaは、多い時で1カ月に1万6千人が入場していたが先月は4〜500人という厳しい状況にあることを明かす。ライブを記録し、ほかのライブハウスで再現するという新たな試みに「ライブハウスの新しい使い方の一歩になれば」と音楽の灯を絶やさないことが大事だと伝えた。

 19日の「LIVE ON DISTANCE VIEWING “Gimmme!”」のチケットは、「スタンディング:1,500円(税込・ドリンク代込)」という価格設定。柘植氏はシステム化することで繰り返し上映することができ、さらに全国のライブハウスに展開していくことも「Distance Viewing」のメリットであり、裏方のスタッフを含めた音楽シーンを手助けすることに繫がっていくと話す。川上氏は安価なチケット価格に敷居が低く、高校生や大学生が手軽にライブが体験できることに期待を込め、「次の音楽の芽になれば」とコメントした。

 ニューノーマル時代の新しい音楽ライブの形として注目されていきそうな「Distance Viewing」、今後はどのようなアーティストやコンテンツが同機能を使用するのか楽しみだ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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