アメリカで強まる誹謗中傷への取締り 大手口コミサイト「Yelp」にも動きが

アメリカで強まる誹謗中傷への取締り

 Instagramに続いて、米国で大人気のローカルレビューサイト「Yelp」もとうとう動き出した。同社は8日、誹謗中傷を取り締まる新機能を実装したと発表した。

 「Yelp」では、ソーシャルメディアやニュースの内容を鵜呑みにし、レビューに書き込むケースや、ユーザーによる直接的な経験に基づいていないケースが多く見受けられる。同社はこれらのケースに対して厳重に対処し、そのようなレビューが書き込まれた飲食店などのビジネス用ページに警告を送信する。その後、「Yelp」側による精査を経て、レビューが一時的に無効化される仕組みとなっている。

 米国では「Black Lives Matter」以降、ソーシャルメディア上での運動が活発化している。実際、この夏における黒人が経営する飲食店などへのレビュー件数は昨年の同時期に比べ、617パーセント増加。さらに、女性が経営に携わるお店では、昨年に比べ114パーセント増という高い数値を記録した。その中には直接的経験に基づかない誹謗中傷を書き込むユーザーも少なくはない。そこで、黒人や女性の経営者が謂れのない誹謗中傷で損害を被ることがないよう、今回誹謗中傷に関わる新機能を実装するに至った。

 「Yelp」は性別や人種などを問わず多様性を認める立場から、米国における社会的弱者である黒人をサポートするための活動に従事している。例えば、黒人系のお店の商品やサービスの購入促進のために発足した「My Black Receipt」と業務提携を締結したり、黒人が経営する小売店を謂れのない誹謗中傷から守るための嘆願書「15 Percent Pledge」に参加したりといった取り組みは、その一例である。

 誹謗中傷対策をめぐっては、世界を代表するテック企業を中心に動きが見られる。例えば、ヘイトスピーチや誤情報に対する対応が不十分であるとしてたびたび銃火を浴びせられてきたFacebook社。ついにホロコースト否定説をはじめ、反ユダヤ主義に関わる内容を取り締まる体制を強化すると発表している。

 第二次世界大戦が終了してから70年以上の歳月を経た今、当時の状況を知る人々は減少している。その一方で、戦争を直接経験していない若い世代の間では「ホロコーストは誇張されて広まった、事実関係が確認されない一種の神話である」とする説が囁かれている。「Facebook」ではホロコーストを否定する投稿が目立っており、「そのような投稿に対してどう対処すべきか?」は企業として最大の課題のひとつでもあった。

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