カルチャー好きな10代はPodcastをディグる時代(第1回)

カルチャー好きな10代はPodcastをディグる時代 第1回

2.フードエッセイスト・平野紗季子による偏愛Podcast『味な副音声〜voice of food〜』

 カルチャー好きで『POPEYE』や『Hanako』、『an・an』などの読者である10代なら知っている人も多いであろう、自身を「平成生まれのごはん狂」と名乗るフードエッセイストの平野紗季子が今年9月、ついに自身のPodcast番組をスタートさせた。小学生の頃から食日記をつけていたという筋金入りの平野だが、彼女には“食通”という言葉は似合わない。その店の店主の人柄や、メニューの配置・存在意義、エッジの効き具合から慎ましさまで、非常に多角的かつ、おそらく“擬人的”な目線で食について観察しているのだ。つまり、平野は食ヲタクなのである。

 そんな平野のPodcast番組『味な副音声〜voice of food〜』の、記念すべき第1回のテーマは「定食」。中堅チェーン店の牛タン定食屋「ねぎし」の良さについて、実際にお店に行って「白タンセット」を食べながら、アツく語るというスタイルが彼女らしい。よく、平野のInstagramでは、アップ済みの投稿に追加でいくつかコメントを残しているのを見かける。おそらく、ごはんやお店に対する思いが尽きず、キャプションでは言い足りないことが多いのだろう。それらも全部伝え切るのには、時間制限のないPocastというプラットフォームがピッタリなのかもしれない。田中然り、平野然り、ライターという職業をしている人間が、言葉や文章をまとめるまでに、どんな思考回路でトピックに向き合っているかを垣間見ることができるのはとても面白い。平野の番組は始まったばかりだが、これからいろんなレストランやお店の店主たちを迎えての対談も行っていきたいと考えているそう。これからの展望をチェックして、「初期からのリスナーなんだ」と後々自慢したくなるような、美味しいPodcast番組である。

3.サービスやクリエイター・ブランドの時事問題を総括『Off Topic』

 高校生の頃からWeb系の企業に訪問し取材を行うブログ『ミキレポ』を運営していたという、驚くべき行動力を持つ元VCアソシエイトの草野美木(@mikirepo)が、「Outreach Grid」のCOOで、同じく元VCアソシエイトのTetsuro Miyatake(@tmiyatake1)と共に、米国のさまざまなテックニュースを『Off Topic』なりに関連付けてまとめたり、スタートアップやビジネスの情報についてを発信する番組。番組自体は2018年11月に開始したという、近年のPodcast番組の盛り上がりから見れば中堅・あるいは古株のような存在だが、10代の筆者が聴き始めたのはここ最近である。

 10代にとって、『Off Topic』の良いところは、自分たちが普段利用しているSNSコンテンツやそのサービス、好きなブランドの歴史や市場戦略、話題になっているテック関連のトピックの真相についてなどの知識を豊富に得られる点だ。ボーッと聴き流してしまうと、国内外で流行っている・問題視されているモノゴトに関する知識を得るだけに終わってしまうかもしれない。しかし、それらを踏まえて自分が追いかけている分野について振り返ってみたり、将来就きたい仕事は社会の中でどんな位置付けなのかについて捉えようとしてみることこそが、大事なのではないかと思う。ただでさえ、近年テクノロジーの発達により職種が大幅に変化するとささやかれているのに、今年から急速に感染拡大した新型コロナウイルスの影響があいまって、一寸先の未来を考えることも難しい状況だ。またそれに比例するかのように、テクノロジーの需要が大幅に増している。自分の将来について、不安に思っている若者も多いだろう。したがって、自分がやりたいことと、社会が求めているものとの距離感を掴むためには、いろんなジャンルのテックカンパニーが抱えている時事問題をきちんと追いかけていくことが重要なのではないだろうか。若い世代にとっては、新聞を読んだりニュースを聴いたりするのに比べて、すっと聴きやすいことも含めてオススメだ。

 Podcastは1放送分聴くのでも時間がかかるため、「聴き比べる」のはとても大変だ。しかし、過去の放送はいつまでも残っているし、自身の興味のあるトピックで検索をかけて、いろんな番組を少しずつ聴くこともできる。そのため、Podcastランキングをチェックしたり、随時検索をかけ続けたり、あなたへのオススメを巡回したりして、聴きたいと思った回をプレイリストにまとめておけば、いつでも掘り起こすことができてとても便利だ。今回あげた3番組のほかにも、尖っていて、アツくて、ふざけていて、くだらなくて、面白い番組を常に探していきたい。Podcastは、これからもっと面白くなる。筆者はそう信じている。

(画像はPixabayより)

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