“マリオのバトロワ”『マリオ35』が示した遊び心の本質  ゲームの面白さに複雑なシステムは必要ないのか?

“マリオのバトロワ”『マリオ35』が示した遊び心の本質  ゲームの面白さに複雑なシステムは必要ないのか?

 また、システム面の完成度についても触れておかなくてはならないだろう。『マリオ35』では、登場する要素のすべてに軽視できない意味があり、これらが絶妙なバランスで混ざり合うことで、プレイヤーの体験を支えている。

 たとえばザコ敵の撃破は、時間の管理がシビアな『マリオ35』において、制限時間を延長する重要な役割を担っている。もちろんステージクリアからも多少のタイムボーナスを獲得できるが、これだけではあっという間にタイムオーバーとなってしまう。十分な時間を確保するには雑魚敵の撃破が必須となるのだ。

 この仕様は、根幹システムである「おくりあいバトル」や「パワーアップアイテム」と相互に影響しあっている。プレイヤーは限られた時間をやりくりしながら、勝ち残りを考えなくてはならず、両立には効率よく敵を倒し続ける必要がある。そのために、「スター」や「フラワー」といった攻撃的なアイテムが不可欠であり、それらを得るには、時間に追い立てられるなかで「ハテナブロック」を叩いたり、コインを集めたりしなくてはならない。

 一方で、ハンマーブロスやクッパといった強敵を送りつけるほど、ライバルをより妨害できることになるが、そうした敵のいる難しいステージに挑戦することや彼らを倒すことには、大きなリスクもある。「生き残りとライバルの蹴落としのどちらを優先するのか」という複雑な葛藤が絶妙なバランスの上に成り立っている、そんなタイトルが『マリオ35』なのだ。ゲーム中に登場する要素は、35年前の作品とほぼ変わりない。ゲームデザインの変更とバランス最適化という2つのリワークのみで、2020年にフォーマットしたことになる。

 『マリオ35』は、2021年3月31日までの期間、Nintendo Switch Onlineへの加入者を対象に、無料で提供されている。シリーズ35周年だからできる特別な体験を、この機会に楽しんでみてはいかがだろうか。

■結木千尋
ユウキチヒロ。多趣味なフリーライター。
執筆領域は音楽、ゲーム、グルメ、テクノロジーなど。カルチャー系を中心に幅広いジャンルで執筆をおこなう。
人当たりのいい人見知りだが、絶対に信じてもらえないタイプ。Twitter:@yuuki_chihiro

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