アメリカ“TikTok&WeChat禁止”大統領令に対し、TikTokが「徹底抗戦」を表明
アメリカのドナルド・トランプ大統領は8月6日、動画投稿プラットフォーム『TikTok』を運営するByteDanceと、メッセンジャーアプリ『WeChat』を運営するTencentの中国2社に関する取引を禁止する大統領令に署名した。9月下旬以降、違反者には「制裁を科す」としている。
国家安全保障・外交政策・経済に対する中国の脅威に対抗
ByteDanceはこれを受けて、アメリカの事業の売却について、複数の米国企業と接触することを余儀なくされており、特にMicrosoftは買収への強い関心を示していると『CBS News』は報じている(参考:https://www.cbsnews.com/news/trump-executive-order-tiktok-parent-company-bytedance/)。
9月15日までに取引が成立しない場合、TikTokはアメリカで利用できなくなるという。トランプ米大統領は今回の大統領令について「国家安全保障・外交政策・経済に対する中国の脅威に対処するための措置」だと説明している。
これらのアプリが規制の方向へ向かっているのは、「インターネット上の活動、位置データ、閲覧履歴といったユーザーの膨大な情報を自動的に取得している」「アメリカ市民の個人情報へのアクセスを中国政府や産業スパイに許す危険がある」という疑惑があったためだ。
また、トランプ氏は「買収が成立した場合、売却金額の大部分を手数料として、アメリカ政府に支払うべきだ」と発言。不動産取引の仲介手数料を例に出して、正当性を主張している。
TikTokは“法律遵守”を訴える
『9to5Mac』は「TikTokは大統領令の翌日に、法的手続きも含めたあらゆる手段を用いて、徹底抗戦する立場を表明した」と報じている(参考:https://9to5mac.com/2020/08/07/tiktok-threatens-legal-challenge/)。
TikTokが発表した声明文は、下記の通りだ。
「大統領令に衝撃を受けました。表明された懸念に建設的な解決策を見出すために、1年近くの間、誠実に米国政府に協力するように努めてきましたが、今回は適切な手続きを踏まずに民間企業の交渉に介入し、条件を強要しようとしています。これでは、法律に則った手続きが行われません。この大統領令は、アメリカの法律遵守へのグローバルビジネスの信頼を失墜させるものです。法律遵守こそが、アメリカへの投資を呼び込み、経済成長に寄与するものです」
さらにTikTokは、これが表現の自由や自由市場に対する危険な先例になると警告。法の支配が損なわれないように、また企業とユーザーが公平に扱われるようにすべく、あらゆる救済手段を模索するとしている。
そしてTikTokは、嫌疑についても「中国政府とデータを共有したことはない」と主張。アメリカ財務省への支払いが要求される奇妙な取引で、Microsoftに事業を売却することに同意するように圧力をかけられたとも述べた。