『今日好き』YouTubeチャンネル成功で、番組はさらに進化? 独自施策の数々に迫る
7月13日放送の最終話で、いよいよ運命の告白を迎える『今日、好きになりました。紫陽花編』(ABEMA)。意中の女子からのアピールに、“好き”の気持ちが逆にわからなくなってしまった小林希大(きだい)や天野冬海(ふゆみ)など、“弱火な恋心”の男子メンバーが目立つ今シーズンだが、はたしてどのような結末になるのだろうか。
そんな『今日、好きになりました。』(以下:今日好き)で本編同様に注目を集めているのが、今年2月開設の番組公式YouTubeチャンネルである。同チャンネルでは、ABEMAにて配信中の本編の次回予告や過去シーズンの一部映像、ABEMAでのスピンオフ企画として番組出演経験のある高校生メンバーが放課後の新たな遊び方を探求する「今日好き部」のほか、番組のYouTube専用スタジオにて撮影した限定動画などを幅広く公開。登録者も23.8万人を突破し、めきめきと数字を伸ばしている(2020年7月10日現在)。同じABEMA制作の『オオカミ』シリーズなど、独自チャンネルを抱える恋愛リアリティーショーは存在するのだが、なかでも『今日好き』はYouTubeに最適化した企画を次々に発信している印象が強い。
ここで改めて『今日好き』について振り返っておこう。同番組は、女子なら胸キュン間違いない夢のようなロケーションのもと、高校生たちが2泊3日の修学旅行を通して運命の恋を見つけるもの。何気なく生まれた好意が時にすれ違いを生みながらも、その想いが確信に変わるまでの過程に見どころがある。それでも、番組本編で追いかけられるのは、カップル成立という“恋のスタートライン”までなのだ。
もちろん、すでに旅を終えた高校生メンバーがトーク形式で出演した本編シリーズ「春休み特別編」や前述した「今日好き部」など、彼らの“その後”を追う機会はたびたび用意されている。ただ、ABEMAというプラットフォームを飛び出すことで、今回新たに得られた武器があることも非常に興味深い。
例えば、前シーズン『青い春編』にて成立した、里吉峻(しゅん)とくろがねさら(さら)の“しゅんさら”カップルを見てみよう。いま最もシアワセかもしれない2人は、さらの兄で以前に4シーズンにわたって旅を続けた“Mr.今日好き”こと鉄篦啞(くろがねのあ)もサプライズで加わったYouTube限定クイズ企画、通称「くろがねさら王」に挑戦。視聴者はさらに関するクイズバトルを楽しみつつ、大好きな彼氏を前にニヤニヤな妹と、2人を本心では祝福しながらも、ぶっきらぼうな態度を取る兄、そのすべてを温かい目で見守る彼氏という、三者三様な関係性を前に笑顔になること不可避だろう。まさにYouTubeらしいゆるふわな空気感が心地よく、公開後にYouTube急上昇ランキング1位となったのも納得だ。
また、同じく『青い春編』でカップル成立した永江梨乃(りの)、山田なる(なる)、さらの女子3人は、3分間メイクチャレンジに挑戦。普段は大人びた印象のあるメンバーだが、様々なメイク道具と制限時間を前に慌てふためく様子は、番組出演時のイメージよりやや幼く感じられた。昨今のリモート大航海時代にあわせた企画だったが、彼女たちの以前よりも自然体な姿を楽しめたほか、番組とは異なる視点から個人のパーソナリティを切り取ったことで、10代女子の視聴者の日常にも寄り添うような親近感を与えてくれたことだろう。このように、ABEMAからYouTubeにプラットフォームを拡大したことで、メンバーたちの楽しむ企画の裾野も同時に広がった印象がある。