オンラインライブは“有料配信”がスタンダードな時代へーーABEMA新機能「PayPerView」実装に思うこと

配信ライブは“有料配信”が基準に

 新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、ライブハウスやホールなどにおける、観客を入れての公演が難しくなっている現在。ライブのほとんどは新しい生活様式にあわせてオンラインへ移行しつつある。

 リアルでの自粛が続く中、政府は無観客ライブを推奨しており、一部地域ではライブ実施事業者への補助金が開始されるなど、オンラインライブの流れが加速。各社が新たな配信サービスを立ち上げたり、既存のサービスに新機能を追加するなどし、この危機をなんとか乗り越えようとしている。

 2月末よりライブの開催自粛が発表され続けて以降、各アーティストが中止・自粛した公演を無料配信し、自宅にいるファンたちに勇気を与え続けてきたが、国内のライブ・エンターテインメント業界は年間市場規模の8割弱、約6900億円を失っていることがぴあ総研の調査でもわかっているように(参考:https://www.asahi.com/articles/ASN6466JKN62PTFC012.html)、全てが無料配信のままでは、アーティストやそれに関わるスタッフの生活を含め、業界全体が持続不可能な状態になってしまう。

 そんななか、配信サービスとしてはTwitchが(権利的な部分の懸念はあるものの)投げ銭形式での配信を実施したり、ZAIKOが有料配信チケットを投げ銭システム付きで販売したりと、オンラインライブの“価値”を再考すべく、新たなサービス・機能が活用されはじめた。直近の例でいえば、テレビ&ビデオエンターテインメントのABEMAが、有料オンラインライブ「PayPerView(ペイパービュー)」機能をリリースしたことも記憶に新しい。

 「PayPerView」について改めて解説すると、ABEMAで配信される有料オンラインライブを1コンテンツごとに購入し、アーティストのライブ、イベント、スポーツ興行、ファッションショー、舞台などのコンテンツを視聴できる機能。同機能はサイバーエージェントグループの株式会社CyberHuman Productionsと連携し、現在国内で3台しかない、リアルタイムに人物と3DCG空間を合成して撮影ができる「バーチャル撮影システム」を活用することで、多様なCGや3D空間、ARを用いたライブ会場とはまた違った臨場感のある視聴体験ができる。

 そのほか、ライブ中に出演者へスタンプを送ることができる「応援機能」をはじめ、「コメント機能」やキャンペーンを通じた演者との双方向なコミュニケーションの実現、オンラインライブにあわせたグッズの販売、さまざまなアングルからオンラインライブを視聴できる「マルチアングルライブ」機能(今夏リリース予定)、ライブ中に視聴者が投票という形でリアルタイムに参加ができる投票機能(今夏リリース予定)など、”リアルの代替品”ではない、オンラインならではの体験を提供することで、有料配信としての価値を見出そうとしている。

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