日本SF界の権威「星雲賞」にノミネート 『十三機兵防衛圏』はなぜ支持を集めるのか 

「星雲賞」で再燃『十三機兵防衛圏』人気の理由

 2019年に発売されたヴァニラウェア開発のタイトル『十三機兵防衛圏』が、日本SF界で権威ある賞とされる『星雲賞』にノミネートされた。同作はなぜこれほどの支持を集めるのか。星雲賞の概要を踏まえたうえで、システム面から『十三機兵防衛圏』の魅力へと迫っていく。ネタバレは限りなく0に近いため、未プレイの方も安心して読み進めてほしい。

ゲームカルチャーにとって縁遠い日本SF界の権威『星雲賞』

 星雲賞は1970年に誕生した、優秀なSF作品・SF活動をたたえる賞だ。対象となるのは前年に発表もしくは完結した作品で、日本SF大会参加者の投票によって選考される。創設当初は「日本長編」「日本短編」「海外長編」「海外短編」「映画演劇」の5部門だったが、その後「コミック」「アート」「メディア(映画演劇が名称変更)」「ノンフィクション」「自由」の5部門が新設・改名され、9部門で競われる賞となった。

 過去の受賞者・受賞作品には錚々たる名が並ぶ。次項に記したのはほんの一例であり、著名な作者・作品をすべて挙げればキリがないほどだ。

 今回『十三機兵防衛圏』がノミネートされたのはメディア部門。対抗馬には『彼方のアストラ』『天気の子』『翔んで埼玉』などがリストアップされた。これまでにも数多くのゲーム作品がノミネートまでこぎつけたが、受賞に至った作品は2001年の『高機動幻想ガンパレードマーチ』のみとなっている。ゲーム業界にとって縁遠い星雲賞で、同作が結果を残せるのか。今後の動向に注目が集まっている。

・『星雲賞』過去の主な受賞者・受賞作品

1973年『時計じかけのオレンジ』(スタンリー・キューブリック監督作品、映画演劇部門)
1974年『日本沈没』(著/小松左京、日本長編部門)
1975年『宇宙戦艦ヤマト(TVアニメ)』(総監督/松本零士、映画演劇部門)
1979年『スター・ウォーズ』(ジョージ・ルーカス監督作品、映画演劇部門)
1981年『星を継ぐもの』(著/J.P.ホーガン、海外長編部門)
1983~1986年、天野喜孝(FFシリーズのキャラクターデザインなど、アート部門)
1983年『ブレードランナー』(リドリー・スコット監督作品、メディア部門)
1985年『風の谷のナウシカ』(宮崎駿監督作品、メディア部門)
1986年『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(ロバート・ゼメキス監督作品、メディア部門)
1986年『アップルシード』(作/士郎正宗、コミック部門)
1987年『うる星やつら』(作/高橋留美子、コミック部門)
1988年『銀河英雄伝説』(著/田中芳樹、日本長編部門)
1989年、手塚治虫(鉄腕アトムなど、特別賞)
1994年『ジュラシック・パーク』(スティーヴン・スピルバーグ監督作品、メディア部門)
1996年『寄生獣』(作/岩明均、コミック部門)
1998年、水木しげる(ゲゲゲの鬼太郎など、アート部門)
2000年『カウボーイビバップ(TVアニメ)』(監督/渡辺信一郎、メディア部門)
2003年『ほしのこえ』(新海誠監督作品、メディア部門)
2006年『陰陽師』(原作/夢枕獏・作/岡野玲子、コミック部門)
2007年『時をかける少女』(細田守監督作品、メディア部門)
2008年『初音ミク』(クリプトン・フューチャー・メディア、自由部門)
2017年『シン・ゴジラ』(樋口真嗣監督作品・総監督/庵野秀明、メディア部門)

『十三機兵防衛圏』はなぜ支持を集めるのか

 星雲賞の選考基準を踏まえると、今回評価の対象となったのは『十三機兵防衛圏』のシナリオ面であることがわかる。当然シナリオそのものの質の高さは大前提だが、それだけの条件であれば数多の作品にチャンスがあったはずだ。そのなかでなぜ同作がノミネートへとたどり着いたのか。システム面からその魅力を紐解きたい。

 『十三機兵防衛圏』は3つのパートから構成される独特のゲームシステムを持つ。主人公13人をプレイアブルキャラクターとしたリアルタイムストラテジーが展開される『崩壊編』、アドベンチャーゲームとして主人公たちの群像劇を追体験する『追想編』、先の2つのパートでは語り尽くせないキーワードの背景をアーカイブ閲覧で深堀りする『究明編』の3つだ。ストーリーの大部分はこのうちの『追想編』で語られていく。『十三機兵防衛圏』が持つ魅力をシステム面から考えるのであれば、同パートについて言葉を尽くす必要があるだろう。

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