『聖剣伝説3 ToM』は“リメイクもの”の傑作か? プレイの先に見えてきた『FF7R』との対照性

『聖剣伝説3 ToM』は“リメイクもの”の傑作か?

 2020年4月24日、25年の時を超えてよみがえった1本の名作タイトルがある。その名は『聖剣伝説3』。スクウェア(現スクウェア・エニックス)の黄金期に誕生し、多くのゲームフリークに支持されてきた『聖剣伝説』シリーズの第3作だ。

 同シリーズからはこれまで複数の作品がリメイクされてきたが、そのどれもが手放しで評価されるタイトルとはなれず、賛否両論を生んできた過去がある。満を持して発売された第3作のリメイク『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』はその過去を払拭できたのだろうか。本記事では同作のプレイを踏まえ、その評価を考えていく。

オリジナル版の世界を忠実に再現した正統派リメイク『聖剣伝説3 ToM』

 『聖剣伝説3 ToM』で最も印象的だった変化が“映像と音楽のアップデート”だ。一般的なリメイク作品とおなじく、時代やハードの変遷を踏まえた変更が同作には加えられ、現代でも見劣りのないタイトルへと生まれ変わっていた。特に音楽面へのテコ入れが素晴らしく、この点を評価ポイントに推す声は大きい。「元の雰囲気をそのままに格段のスケールアップを遂げたBGM」は、間違いなく今作の見どころのひとつに挙げられるだろう。新しさを感じさせつつも原作へのリスペクトを忘れない姿勢に「プレイしていた頃を思い出した」というファンも多かったはずだ。リメイク作品における音楽の重要性を、同作は再確認させてくれた。

 また上記と並んで目を引いたのが“ゲームテンポの良化”である。マップ上には次に行くべき場所がマークされ、最短距離でシナリオを進められるようになった。合わせてレベルデザインの一新によるレベリング作業の緩和、一度に読み込むマップの広域化によるロード回数の削減も施されている。こうした変更により、コンパクトなゲーム体験が可能となり、結果としてシナリオへの没入感も深まった。

 その一方で、根本的なゲームシステム・バトルシステムには大きな変更が加えられておらず、原作どおりの楽しさを提供する設計が目立つ。先述した音楽やゲームテンポなどへの変更を含め、『聖剣伝説3 ToM』は“オリジナル版の世界を忠実に再現した正統派のリメイク”と言えるのではないだろうか。

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