『聖剣伝説3 ToM』は“リメイクもの”の傑作か? プレイの先に見えてきた『FF7R』との対照性

『聖剣伝説3 ToM』は“リメイクもの”の傑作か?

『聖剣伝説3』リメイクとは対照的な『FF7』リメイクの存在

 反面、こうした仕上がりをマイナスに捉える向きもある。シンプルなバトルシステムやスキルエフェクトの淡白さ、シナリオの未成熟さに時代を感じるという声だ。シナリオについてはリメイクにあたり補完されている箇所もあるが、必要十分であるとは言い難い。今作を評価できるタイトルとするかは、これらの点をどう扱うかにかかってくるだろう。リメイクタイトルに求められるのは時代に即した新しさか、それとも昔ながらの遊び心か。この問いに対する個々のプレイヤーの答えによって、『聖剣伝説3 ToM』の評価は変わってくるはずだ。

 このような観点で考えると、直前に発売された『FF7R』とは対照的なリメイクであることが見えてくる。原作に大幅な手入れを施し、完成されたひとつの作品として評価される『FF7R』と、原作に忠実につくられた丁寧な復刻として評価される『聖剣伝説3 ToM』。異なった特徴を持つ2つの作品が、リメイクが数多くリリースされる時代のモデルタイトルとなっていくのかもしれない。

 そして、このスタンスの違いは“誰に喜ばれるタイトルを目指してリメイクするか”と言い換えることもできる。これからのゲームカルチャーを支えていく新規ユーザーに比重を置いた『FF7R』と、25年前のオリジナル版に熱狂したオールドユーザーに比重を置いた『聖剣伝説3 ToM』。プレイヤーの好みによって、各作品の評価も大きく分かれたに違いない。

 あなたが好きなリメイクは、『FF7R』と『聖剣伝説3 ToM』のどちらだっただろうか。私は『聖剣伝説3 ToM』に1票を投じたい。

■結木千尋
ユウキチヒロ。多趣味なフリーライター。
執筆領域は音楽、ゲーム、グルメ、テクノロジーなど。カルチャー系を中心に幅広いジャンルで執筆をおこなう。
人当たりのいい人見知りだが、絶対に信じてもらえないタイプ。Twitter:@yuuki_chihiro

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