東海オンエア主演『グレーゾーン・エージェンシー』に感じる気概 ジャンルを超えた“グレーな魅力”を解説
東海オンエアが主演をつとめた連続ドラマ『株式会社グレーゾーン・エージェンシー』(全10話)が、YouTubeにて絶賛配信中だ。YouTube Premiumではすでに全話配信、Premium会員以外でも視聴可能で、毎週順次1話ずつ無料公開されている(現在は6話まで無料公開中)。
UUUM所属のYouTuber出演のYouTube Originalsシリーズのドラマは本作で3作目となる。1作目のはじめしゃちょー主演『The Fake Show』はサスペンス、2作目のFischer’s主演『フィッシャーズと失われし碧き秘宝』はモキュメンタリー、そして、『株式会社グレーゾーン・エージェンシー』は、東海オンエアメンバーが演技に挑戦する“ドラマパート”と、大喜利やゲームなど、様々な試練にチャレンジする“アドリブパート”で構成された、バラエティ要素の強い作品となっている。
ドラマの舞台は2021年。見るからに怪しい投資話にひっかかったせいで、一文なし(正確には残高321円)になってしまった東海オンエア。活動休止を余儀なくされた彼らの前に現れたのは、やはり見るからに怪しい男・灰崎(津田寛治)。「グレーゾーン・エージェンシー」の代表取締役という彼の強引な勧誘により、東海オンエアメンバー全員の就職が決定したものの、この会社は灰崎社長とその右腕の田沼(小松利昌)による、理不尽なルールやパワハラの渦巻く、グレーゾーン……、いやブラックな企業だったのだ。
名バイブレイヤーとして知られる津田寛治や小松利昌らと共に「会社員」役に挑戦するメンバーはもちろんのこと、毎回YouTuberやタレントゲストを相手に「面接」や「有給休暇」などのテーマに沿った試練を課せられる、アドリブパートも大きな見どころだ。第1話の「男たちの熱き面接」では、お笑いコンビのカミナリ扮するザ・Mブラザーズ相手に大喜利にチャレンジし、第3話「大いなるプレゼン」ではデヴィ夫人にプレゼン(ほぼ大喜利)したりと、お笑い芸人やタレントと絡むメンバーは、新鮮にうつることだろう。
また、デカキン&エミリン扮するクレーマー夫婦からの電話処理は、往年の架空請求バトルを思い起こさせるし、ファンにはおなじみの文理対抗(文系・理系出身のメンバーにわかれて対決する、東海オンエアの動画における名物シリーズ)など、彼らが普段からやっていることが、作品に盛り込まれているところもポイントだ。
ゲストもYouTuberとテレビタレントをバランスよく配分しており、アドリブパートも、『VS嵐』のようなテレビバラエティに寄ったゲームにチャレンジする回もある(なお、リーダーのてつやは嵐ファンである)。
ネタバレになってしまうので詳細は伏せるが、東海オンエアに理不尽な注文をつけてくる灰崎の言動にも実は理由があり、それはある意味YouTubeの台頭を恐れているテレビ業界の比喩のようにも受け取れる。